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100年後、横浜で当たり前の風景に。『濱明朝』完成イベント!【mass×mass Cafe レポート!】

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シェアオフィスmass×massが毎月第1金曜日に開催している恒例のトーク&交流イベント「mass×mass Cafe」。

「mass×mass Cafe」は、毎回あたらしい価値を創造しているクリエイターや実践者をお招きして、これからの時代を切り開くためのアイデアやマインドのヒントを探るナイトパーティー。『都市フォント・濱明朝完成記念!横浜生まれのフォント出来ました! 〜濱明朝ができるまで・トークナイト〜』をテーマに8月は開催しました!完成まで足掛け9年!完成記念も兼ねてのパーティーということもあり、デザインに興味のある方はもちろん、これまで濱明朝を応援してきたたくさんの方にご参加いただきました。
 

 

都市フォントってなんだろう?濱明朝がついに完成!

今回のゲストスピーカー

タイププロジェクト株式会社デザイナー
両見英世さん

1982年生まれ。千葉県出身。ウェブサイト制作会社を経て、2007年タイププロジェクトに参加。タイププロジェクトが掲げる
都市フォント構想の推進メンバーとして、「cityfont.com ― voice of a city.」の立ち上げに携わる。都市フォント
構想を背景に、2009年より横浜をテーマにした書体作りを開始。2010年6月2日、横浜開港記念日に合わせて「濱明朝」の
漢字、欧文の試作を公開。

◎濱明朝:http://typeproject.com/fonts/hamamincho
◎横浜から生まれたフォントをつくろう!「濱明朝」をまちの風景に(FAAVO横浜):https://faavo.jp/yokohama/project/977

 
今回は横浜をイメージした文字フォント『濱明朝』をつくられたタイププロジェクト株式会社フォントデザイナーの両見英世さんをゲストにお迎えしました。
文字のデザイン以外にも、地域を舞台にしたデザインを手がける仕事をされている両見さん、この濱明朝をつくるきっかけは会社の代表と二人で飲みながら話をしていた時の話題からだったそう。
 
まずはじめたのは、みなとみらい周辺を歩きながらスナップ写真をたくさん撮ったり、横浜開港150周年という節目に開催されたワークショップでおよそ500人が書いた横浜をイメージしたキーワードの抽出。まさに“横浜らしさ”の収集からはじめたそうです。

そして、最初につくった文字がこちらの「開港横浜」の4文字。
 

 
横浜は人口370万人の都市。18区あるなかでそれぞれイメージが違うのではないかと思い、最初は丁寧に調べていったんだとか。とはいえ、キーワードを拾ってみると港に誇りを持っていることが分かり、港をテーマに開発に臨んだそうです。
 
では、なぜ書体はゴシック体ではなく、明朝体にしたのでしょう?
 
『街を歩いているときに感じたのですが、横浜には古いものもあれば、新しいものもあります。新旧が混在している印象的でした。それがでっかい明朝体のなかを歩いている感じがしたんです。水平線があって、そこにビル群が立ち並んでいて。そのイメージが細い水平線に大きくて、太いものが建っている。それを見て明朝体だなあって思ったんです。』
 

 
制作期間の使い方にも少しこだわりのある両見さん。
あるまちづくり事例が紹介されている本のなかで、ご当地フォントをイギリスでつくった事例が載っていたそう。彼らはまちに事務所を構えて、暮らしから街に溶け込むように食事をしたり、地域のひとたちと交流しながら制作するその手法をとっていて、それを知ってから横浜で事務所を借りて制作されたんだとか。

そして、昨年、しっかり本腰を入れて制作に取り組める体制が整ってから、シェアオフィスmass×massの「TENTO」に入居。FAAVO横浜でクラウドファンディングにもチャレンジし3,955,000円を集め、『濱明朝』が誕生しました!
 
▼シェアオフィス「TENTO」についてはこちら
 


 

クロストーク/横浜生まれのフォントが街に溶け込んで日常の風景になったら

 
両見さんが中華街のシェアオフィスにいた頃、隣部屋に入居していたのが弊社スタッフもりかわ。
イベント後半では、もりかわがモデレーターになって両見さんからざっくばらんにお話を引き出しつつ、参加者のみなさんからも質問や応援のコメントをいただきました!
 
今回のレポートではその一部をご紹介します!
 

 
マスマススタッフ森川(以下、森川)  都市フォントである『濱明朝』は横浜を表現するフォントですよね。お話を伺っていて、両見さんはプロセスを大事にされている方で、まずはフォントを作るために横浜に事務所を借りられましたよね。朝行くと中華街の色々な音が聞こるなか、事務所でデザインされていて。9年という時間をかけて作られているのも、実はフォントづくりにおいてすごく重要な時間だったんだと思います。
 

両見さん  濱明朝は作るのに全部で9年かかってるんですけど、コンセプトを練るところから本気で作り始めるところも含めての期間です。最初は漢字1000文字弱しか作らなかったんですね。そこまでで、大体5年くらい。
そのあと、一度作った1000字を作り直して、バリエーションを検討するにあたり、本当に行けるかいろいろ見直してました。それに1年ちょっとくらい。そこから正式にクラウドファンディングをやったり、実践をしていきました。
 

森川  そうでしたね、今回はクラウドファンディングという手法で、たくさんの方からご支援をいただきました。実際にこのKii(mass×massの運営母体)が実施しているFAAVO横浜を利用してみていかがでしたか?
 

両見さん  ご支援本当にありがとうございました。なにが良かったというと、直接お会いしてお話しする機会ができたことです。普段は直接誰かに会って、自分の作っている書体のやりとりはしないんですけど、クラウドファンディングがきっかけで直接お話をさせていただく機会ができて、デザイナーではない方ともお話ができて、ものづくりのなかでフォントの立ち位置がよく分かりました。
 

森川  まだ知らない人も沢山いらっしゃると思いますが、横浜生まれの人や、横浜で暮らしている人からすると、横浜生まれのフォントができたというのはとても嬉しいことだと思います。反響はどうでしたか?
 

両見さん  クラウドファンディングではメディアにも取り上げていただいたり、色々なご協力をいただきました。これまではフォントを選んで買うのはデザイナーとか、限られた職種の方しかいなかったんですが、デザインを仕事にしていない方から使いたいと依頼が来たり、それはすごく嬉しかったです。

フォントづくりをレストランにたとえると、自分たちは生産者。シェフがどう料理するのか、食べ方も色々あって良いというか、自由に作ってもらえるのが生産者冥利につきるというか。

(スクリーンに写真を映しながら)これはロンドンの地下鉄のマークなんですが。101年前に作られていて、1世紀を超えて使われているんです。100年も使われているということは、街に馴染んで当たり前の風景になってると思うんですね。濱明朝もこのように横浜の風景の一部になるといいなと思っています。
 

森川  フォントは100年先使われる可能性がある、そこにロマンを感じますよね。何気ない印刷物やHP等で『濱明朝』が使われていくと嬉しいですね。

両見さん、今日はありがとうございました!
 
 

 
 

 
 
 

クラウドファンディングのときに濱明朝とのコラボバッグをつくった横濱帆布鞄代表の鈴木幸生さん。海沿いの古くからある倉庫「万国橋SOKO」に工房を構え、横浜で生まれた帆布を使った鞄づくりを手掛けています。鞄づくりのWSの開催も!→横浜帆布鞄
 

マスマスカフェでは簡単なフードをご用意!今回は石川町にあるアメリカンスタイルピザの「045 pizza MYRO」さん!お隣の駅、JR石川町駅から徒歩2分ほどの元町商店街に面したところにお店があるので、ぜひお近くに行かれた際は行ってみてくださいー!イートインもできますよ♪
 

 

グラフィックレコーディングを担当してくださったのは原田さん!いつもありがとう!(今回も似顔絵がステキと話題に!)
 

 

 

参加してくださった皆さんからの気づきをシェア!
 
 

横浜生まれの都市フォント『濱明朝』

◎濱明朝:http://typeproject.com/fonts/hamamincho
◎横浜から生まれたフォントをつくろう!「濱明朝」をまちの風景に(FAAVO横浜):https://faavo.jp/yokohama/project/977

 
 
text / photo  ほりごめ・ひろゆき