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【INTERVIEW】株式会社ビー・キューブ 川名マッキーさん 『家族にとって撮影している時間が最高に楽しい時間になるように』

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mass×mass

コワーキングスペース入居者

株式会社ビー・キューブ
川名マッキーさん

◆プロフィール
横浜市出身のグラフィックデザイナー&カメラマン。専門学校グラフィックデザイン科卒。デザインプロダクションで多くの撮影現場に接し、
撮影ノウハウを独学で習得。1992年に独立後、ポスター、広告、雑誌、CD&DVDジャケットなどを中心とした商業出版物の企画、デザイン、
製作、撮影を幅広く手掛けている。テレビ神奈川の音楽情報バラエティ『sakusaku』のMCキャラクター、白井ヴィンセントも作品のひとつ。
2009年に家族写真の出張撮影『家族の肖像』プロジェクトを、2011年に写真教室『趣味の写塾』をスタート。ひとを撮ること、ねこを撮ることが
好きなAB型。代表を務める株式会社ビー・キューブはmass×mass関内フューチャーセンターのコワーキング・スペース会員。

●川名マッキーさんが代表を務める会社 株式会社ビー・キューブ のサイトはこちら

はじめに

誰もがスマートフォンについているカメラ機能を使うことで気軽に写真を楽しめるようになりました。またデジタル一眼レフカメラの普及により、一般の方でもプロと同じように本格的な写真撮影もできるようになりました。
一方で、どうやったらワンランク上の撮影ができるのだろうと、悩んでいる人たちもいます。
今回インタビューをしたのは、グラフィックデザイナー&カメラマンの川名マッキーさん。
自分が生まれた場所であり育った街でもある横浜ともっと深く関わりを持ちたい。そんな、原点に戻るような想いからマスマス入居者になったそうです。

まだ暖かさが残る秋麗の候、横浜赤レンガ倉庫と万国橋のあいだにある公園でインタビューをしました。
 
 

写真が好きになる、楽しくなるために

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── 現在の活動について教えて下さい。
 

川名マッキー   グラフィックデザインと広告写真撮影が主な業務です。
 
2009年から「家族の肖像」という名前で家族写真の出張撮影をはじめ、その他にも2011年から個人的に写真教室を開いてきました。
 
写真教室をはじめたきっかけは家族写真でした。ボクが撮影でご家庭にお邪魔すると、お父さんが最新のカメラを持っていることがよくあります。「そのカメラで撮らないんですか?」と聞くと、「マッキーさん、それが全然ダメなんですよ」という答えが返ってくる。どれどれと見せてもらうと、本当にダメなんですよね(笑)
 
なるほど、と。多くの方が良いカメラを持っているのに思い描いているような写真が撮れない。ちょっとしたコツを知ればカメラは一気に面白くなるのに、どこから手をつけて良いのかわからないのだろうという事実を強く感じました。
きっと自分なら分かりやすく伝えられるんじゃないか、と思って試しにはじめてみたんですよ。
最初は手探りでしたが、講座が終わるたびにものすごく喜んでもらえて自分も嬉しかった。それで仕事の傍ら、そういう方たちの役に立ちたいと思うようになりました。

 

── それが写真教室の出発点だったんですね。
 

川名マッキー   そう。mass×massでも『フォトヴィレッジ』のコンテンツの一つとして写真教室を開催しています。入居する以前からmass×massで行われているイベントに何度か参加したことがあるのですが、ワークショップスタジオの雰囲気が魅力的。プロジェクターもしっかりしているし、清潔感もある。ガラス張りの室内が通りからよく見える。将来ここで写真教室をやってみたいと思うようになりました。

 
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◎10月に写真コミュニティ「フォトヴィレッジ」がmass×massで開催した水中カメラマン・道城征央によるトークイベントの様子
 
── ありがとうございます! 『フォトヴィレッジ』を通じていろんな方がmass×massに足を運んでくれるようになり嬉しいです。
 

川名マッキー   『フォトヴィレッジ』では人の気持ちというか、想いを大事にしたいと考えています。テクニックや理論も大切ですが堅苦しいのはダメ。それらを噛み砕いてわかりやすく、しかも楽しく伝えることがコンセプトです。
 
今後さまざまなカメラマンやフォトグラファーに協力をお願いするつもりですが、「参加するみなさんに今よりもっと写真を好きになってもらいたい、写真を撮ることを楽しむ雰囲気を作りたい」という想いに共感してくれる方に来て欲しい。カメラマンなら誰でも良いわけではありません。たとえ素晴らしい写真を撮る方であってもね。

 
これからフォトヴィレッジが目指すのは、この輪をもっと広めること。mass×massに来てくださる方がもっと増えていったら嬉しいですし、全国津々浦々にフォトヴィレッジと同様のコミュニティができていったら理想的。気軽に写真を楽しみ、学び、語り合える場がたくさんあれば良いなと思います。
 

良い写真を残すことも大切、しかし撮っている時間も大切にする

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── 仕事をする上でこれからチャレンジしたいことはありますか?
 

川名マッキー   『フォトヴィレッジ』を全国に広めたいと言いましたが、もともとは家族の肖像カメラマンを全国の都道府県に置きたいという気持ちがあります。『家族の肖像』というブランドの下で、家族写真の出張撮影を担う仲間を増やしていきたい。ボクひとりではとても足りませんから。
 
ただし、その際にとても大事な素養となるのが人柄です。依頼を受けていきなり知らないお宅に伺うわけですから、すぐにスムースなコミュニケーションが取れることは非常に重要です。カメラの腕は教えることで後から追いてきますが、人柄やコミュニケーション能力は教える類いのものではないですよね。
 

── コミュニケーションが大事なんですね
 

川名マッキー   そうなんです。たとえば写真を撮っている最中に「あ、子どもが少し飽きてきたかな?」と感じたらアプローチを変えないといけないし、時には早めに終了した方が良い。その場の空気を読む力とか想像力は必要です。限られた条件の中で相手が満足する写真を収めなくてはならないので大変ですが、ボクはその状況をものすごく楽しんでいます。知らない人に会って、話をすることがそもそも好きなんですね、きっと。

 
『家族の肖像』プロジェクトを始めるときに、ニックネームでもある「マッキー」をビジネスネームとして使うことにしました。初めてのお宅にお邪魔する際、撮影が終わるまでに「その家族の一員として認めてもらえるように」という気持ちで接する努力をしています。ガツンと入り込むためのツールとして「マッキー」を使っているんですよ(笑)
 
最初は子どもたちに「マッキーって呼ぶんだよ」とお願いをする。子どもはすぐに呼んでくれます。次におじいちゃん、おばあちゃん。最後に、やや照れながらお父さん、お母さん。帰る時までに家族みんなが「マッキー!」って呼んでくれる状況になると、もう昔からの知り合いみたいな錯覚に陥るんですよね。「川名さん」ではこの感じはなかなかつかめないと思います。そして、このスタイルを気に入ってくださったご家族からはリピートで呼んでいただいています。
 
 
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── そうだったんですね!それは面白いストーリーですね。
 

川名マッキー   家族写真の出張撮影を始めた頃は「良い写真を残すこと」ばかり考えていましたが、それはあまり重要なことではないのかもしれない、と思うようになりました。実際に撮影経験を重ねていくにつれ、写真のクオリティ以上に「撮影している時間そのものが最高に楽しい経験である」ということに気がついたんです。
 

── 撮ってる時間の方が大事。
 

川名マッキー   そもそも、プロカメラマンが撮影機材を持ってわが家に来るなどということは、それ自体が一大エンターテイメントなんですよ。大型ストロボやパラソルなんかを出すと「うわーっ!」と歓喜の声が上がります。親戚一同が集まっちゃったり。撮影している間、いかに自分が盛り上げ役に徹することができるか、いかに楽しく思い出に残る時間を過ごしてもらえるか。

 

── エンターテイナーに近いですね。
 

川名マッキー   時にはそれぞれの家族の事情も察してあげなくちゃいけない。余命わずかなおじいちゃんの遺影を撮りたいけど、本人には遺影とは言いにくいので家族写真のついでに撮ろうというケースが多々あります。流れで「次にひとりずつ撮りましょう!」と切り出すと、とおじいちゃんも察するんですよね。でも大抵は家族の考え過ぎ、取り越し苦労で、当の本人であるおじいちゃんが一番大笑いして楽しんで、結果的に最高の笑顔で遺影が撮れたりするんです。
 
いったい何のために写真を撮るのだろうかっていうこと。1年後、10年後、20年後に「ああ、撮っておいて良かった」と思う瞬間がきっと来ると思うんです。今現在のためではなく、将来の自分や家族の楽しみのための投資というニュアンスかな。

 

熱量の伝わる写真を使う。そのお手伝いができれば

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── いまお話を伺っていて思ったのが、マッキーさんが写真の力というのをどう捉えてるのかなって。
 

川名マッキー   美しいだけの写真が良いとは思っていないんですよ。
 

── 良いとは思っていない。
 

川名マッキー   写真で伝えるべきことって、熱量なんじゃないかと思っています。クオリティの善し悪しではなく想いが込められた写真が好き。絵はがきのように美しくても魂が感じられない写真より、ピンボケであっても撮り手の熱が伝わる写真の方が相手に響くと思うんです。
 
ビジネスシーンで例えると、自社の商品をアピールする場合もちろん文章が必要なのだけど、それだけでは足りないところを熱のある写真で伝える。そのへんで借りてきた出来合いの美しい写真ではなく、愛着が持てるオリジナルを使う方が良いんじゃないかな、と考えています。
 
そしてそのお手伝いがボクにできることのひとつだと思っています。写真撮影だけでも構わないし、デザインワークだけでも構わない。もちろん両方でも。話をしたり相談をするだけでもいい。せっかくmass×massのメンバーとして関わらせてもらっているので、結果的にビジネスに発展しなかったとしても何らかのかたちで協力できたら嬉しいです。プロダクトの写真、スタッフの写真、印刷物やホームページ用の写真など、困っている方がいらっしゃれば気軽に声をかけてください。
 

── マッキーさんがこれからどんな活躍をするのか楽しみです!ありがとうございました。
 
 
川名マッキーさんが代表を務める会社 株式会社ビー・キューブ のサイトはこちら
 
(text/photo:hiroyuki horigome)
 
 

フォトヴィレッジ
『マスマス』を活用した写真コミュニティ。マスマスの入居者はもちろん、プロアマ問わず一般の写真好きの方が気軽に集まることができる街の写真コミュニティを目指します。定期的にランチ会、写真講座、プロカメラマンによるトークイベントを開催。
次回、11月21日(土)のフォトヴィレッジはなんと、赤レンガ倉庫で開催!まだまだ参加者募集中です!
https://www.facebook.com/events/547218328780828/