mass×mass コワーキングスペース入居者
ちくラボ|畜産価値共創研究所
大内田 一弘/代表
2008年農畜産業振興機構(ALIC)に入り、国内外の畜産物需給動向や農業政策の調査、和牛輸出プロモーションなどに従事。2018〜21年、日本貿易振興機構(ジェトロ)ブリュッセル事務所に駐在。2025年3月末にALIC退職。現在は、畜産業の魅力を一人でも多くの消費者に届けるべく、調査研究、プロモーション、執筆、食育活動などに携わる。1980年2月29日生まれ。世界初(本人調べ)の畜産の魅力発信専門書店「ちくラボ堂」店主。
畜産の「魅力」と「価値」を、外へ届けていく
“現在のお仕事について教えてください”
私は畜産分野の調査研究や情報発信を仕事にしています。国内外の畜産物(食肉や牛乳・乳製品)の需給や政策などの調査や、生産者を取材して記事にしたり、生産者と一緒に消費者向けのイベントを開いたり、業界団体や企業のお手伝い、そして国内外の交流の橋渡しをしたりと、日本の畜産の魅力を届ける仕事をしています。
もともとは農林水産省所管の独立行政法人に20年近く勤め、マクロ統計の分析や調査研究、和牛をはじめとする国産肉の輸出支援やヨーロッパ駐在などを担当していました。仕事を通じて数百に及ぶ生産者や畜産企業を訪ねる中で、面白くて、いい意味で魅力あふれる”変な”方が本当に多いことに惹かれていったんです。
一方で、世間から見た農業・畜産には「大変そう」「自分にはできない」といったネガティブなイメージがある。生産者自身もそう思われていることを分かっている。だからこそ、もっと魅力や価値を外に発信できれば、後継者の問題も含めて、もっと良い業界になるんじゃないかと考えるようになりました。
自分の原体験になっているのは、2018年からのヨーロッパ駐在時代の経験です。 和牛のイベントを開くと、ヨーロッパでもたくさんの人が集まって 、「こんなに素晴らしいお肉は食べたことがない!」と人々が感心する姿を目の当たりにしました。
一方で、日本国内に目を向けると、Web記事や世間では「霜降りは脂がきつい」「もうたくさんは食べられない」といったネガティブなトーンで語られがちです。しかし実際には、世界が驚くほど高品質なものを日本の生産者さんは作っています。 その価値を国内の生産者にフィードバックできたら、業界はもっと良くなるはずだと思っています。
数字を見ても同じことが言えます。一次産業の中で消費量が明らかに伸びているのは、畜産物くらいです。魚の一人当たり消費量が2000年代以降に落ち込む一方で、お肉の消費は伸び続け、2010年頃に魚を追い越しました。
「自給率が下がっている」という話もネガティブに受け取られがちですが、実は国内の生産量が落ちたのではなく、世の中の消費の伸びに国産供給が追いついていないから相対的に下がっているのが本質です。
この「海外での高評価」と「データが証明する需要」を生産者や消費者にフィードバックし、もっと誇りを持てる業界にしていきたいと考えています。

地元との接点を求めて、独立のタイミングでマスマスへ
“マスマスに入ったきっかけを教えてください”
会社員を辞めて独立する際、「自分が暮らす地元・横浜に活動の拠点を持ちたい」という想いがありました。ちょうどその頃、妻がメンバーの一人として関わっていた「ライフデザインラボ」が、現在の日本大通りへ移転したばかりのマスマスでイベントを開いていたんです。そこで地元の関係者の方々と出会い、「こういうコワーキングスペースがあるよ」と教えてもらったのが最初のきっかけでした。
調べてみるとコワーキングスペースはたくさんあり、比較のために内見にも行きました。それでも最終的にはマスマス一択でしたね。決め手になったのは、マスマスの運営者の思いを聞けたことです。
これまでは国や海外に向けた仕事が中心でしたが、暮らしの足元にある横浜で何かを始めたい。そう考えた時に、ただ席を借りるだけでなく、「地域とつながる拠点」として最も魅力的だったのがマスマスでした。
最終的にここで登記することも想像していたので、「ここが自分の拠点だ」と言えたらいいな、という感覚もありました。雰囲気やイメージの部分は、やはり大きかったと思います。

徒歩30分の通勤と、地元の人と話せる場所
“マスマスの魅力について感じていること”
まず、家から徒歩30分の通勤時間がすごくいいんです。早朝の誰もいない中華街を抜けて歩くのですが、思考を整理して頭をリセットするのに丁度いい。通ってみて初めて気づいた魅力でした。
もう一つは、地元の方が多いことです。入居者仲間とお昼に中華街へご飯を食べに行くこともあるのですが、そこで地元の課題や「今こんなことをやろうとしている」という話が聞けるのが面白い。フリーランスの方も多く、いい刺激をもらっています。
過去のインタビュー記事を読んで、入居者同士で実際に仕事が始まっているのを知って、正直「いいな」と思いました。私の仕事は少し特殊で、「和牛の輸出イベントがあるので誰かやりませんか」と言ってすぐ手が挙がるものでもない。ただ、いつか地元で何かやりたいと思っていて、そのベースになる場所としてここを選んでいます。まだ実現できてはいないのですが、その”きっかけを探しに来ている”感覚です。

横浜の子どもたちに、畜産の面白さを伝える食育を
“今後のビジョンを教えてください”
これから取り組んでいきたいのは、自分が暮らす横浜の地場にしっかりと根ざした活動です。もちろん全国規模のブランディング支援なども引き続き行っていきますが、特に注力したいのが、地元の小学校などで行う食育プロジェクトです。
「お肉がどうやって食卓に届くのか」というプロセスや畜産の面白さを、子どもたちに直接伝えていきたいと考えています。
そうしたイベントを、企画やデザイン、映像が得意なマスマスの入居者の方々と一緒に形にできたら最高だなと。単なる受託仕事ではなく「地域還元プロジェクト」として形にできたら最高ですね。横浜という足元から、畜産の新しい価値を広げていきたいです。
畜産の価値を伝える相手は、生産者だけでも消費者だけでもない。その両方に向けて、そして自分が暮らす横浜という場所から、少しずつ広げていきたいと思っています。

入居募集中!

横浜・日本大通りにあるシェアオフィス/コワーキングスペースmass×massは起業家&スタートアップ企業、横浜・神奈川で暮らすリモートワーカーたちが集い、働く場として活用されています。2025年12月に施設を馬車道から日本大通りへ移し、24時間利用できるほか、個室のミーティングブースなどリモートワークにも最適な作業環境が整っています。併設されている1棚1オーナー型の(書店主)が集う、ブックマンションと呼ばれる本屋さん「LOCAL BOOK STORE kita.」とパン屋「ベーカリー三三」もお楽しみください。
