mass×mass
コワーキングスペース入居者
株式会社トライフ
手島大輔さん
▶︎プロフィール
1970年東京生まれ。トーマツコンサルティング(株)等の勤務を経て、2005年ベンチャー企業にてオーガニックコスメブランドの立上げを行う。ゼロベースから発売後9ヶ月にて市場価格で約10億円の売上とし株式上場に貢献。2006年株式会社トライフ設立。国内外で複数のソーシャルブランドを立上げる。2009年ボランティア団体を立上げ、障害者施設のマーケティング支援活動を開始。2013年よりオーラルピース事業を開始。2014年2月ヨコハマベンチャーグランプリ最優秀賞受賞。2015年2月Japan venture awards2015最高位賞受賞。明治大学法学部卒、中小企業診断士。共著書「マーケティング戦略ハンドブック」(PHP研究所)。
株式会社トライフ
オーラルピース http://oralpeace.com/
はじめに
みなさんは、高齢者を中心に口の中の汚れが肺に入って死亡する誤嚥性肺炎に毎日多くの方が罹患し、1日約300人の方がなくなっていることをご存知でしょうか。高齢化が進む日本では、9兆円を超える介護コストの引き下げのためにも口腔ケアが注目されています。ただ従来の合成殺菌剤入りの口腔ケア製品を誤って飲み込んでしまった場合、腸管内の大切な菌も殺滅してしまいお腹をこわしてしまうリスクがあります。
mass×mass入居者の手島さんは、口の中のトラブル原因菌は殺菌するが、飲み込んだら安全に消化される100%天然原料のオーガニックマウスケアブランド「オーラルピース」の製造・販売を行っており、また事業を通した障害者の社会参加と収入向上のプロジェクトを進めています。そしてJapan venture awards2015 経済産業大臣賞受賞、ワールドビジネスサテライトの「カイシャの鑑」で取り上げられるなど、いま注目の起業家です。
そんな手島さんに、mass×mass 2Fのシェアオフィス「TENTO」でお話を伺いました!
横浜マラソンも走られる手島さん。常にアクティブ、日本中を飛び回られている最中にお時間頂きました。
口をキレイにすることで、医療コストを下げる
ーーーーーーーーーー開発のきっかけはなんだったのでしょう?
『末期ガンという宣告を受け、口腔内トラブルに悩まされていた父親が口腔用合成殺菌剤を誤飲して体調を崩すことがありました。間違って飲ませちゃうといけないから、水で歯磨きをするんだけど、それだと口腔内のトラブル原因菌は退治できず誤嚥性肺炎による死亡リスクは下げられない。
安全に口の中を安全にキレイできるものがあれば、介護負担を下げられることに気がついたんです。
だから簡単に口の中のケアができて、死亡リスクも下げられ、しかもコストをかけずにできる革新的な製品があれば経済的にも嬉しい。介護コストを下げられる社会的にも意義のあるものになるんじゃないかと思った。』
こちらは「マウススプレー&ウォッシュ」タイプ。手軽に口腔ケアが出来る。使うひと、使うシーンで選べる3タイプ。左から「オリジナル」「スカイミント」「サンシャインオレンジ」
ーーーーーーーーーーこれまで、高齢者や医療向けに殺菌効果が高く、飲み込める歯磨き粉はなかったんですね。
『オーラルピースは、九州大学等と開発した優れた抗菌効果のある天然抗菌剤「ネオナイシン」を配合し水と植物のみから作られるオーガニック口腔ケア製品です。口の中のトラブル原因菌への効果がありながら、飲み込んでも消化され安全という点が今までの製品との違いです。これは最先端の乳酸菌バイオテクノロジー研究をベースとした世界初の発明で、特許を取得しています。また価格も消費者にとって買いやすくなった世界的にイノベ―ティブな口腔ケア製品なのです。』
障害者の社会的役割を高めていきたい
これまでの活動とこれからの活動について、熱く語る手島さん。僕にとって非常に勉強になるインタビューでした。(堀篭)
ーーーーーーーーーー手島さんは障害者の方に仕事をつくる活動もされているんですよね?
『これまで、ボランティア団体にてビジネスのプロフェッショナルの仲間たちとボランティア活動を通して障害者の仕事を作ろうとしてきましたが、なかなか障害者の継続的に収入を維持、向上させていく事業の創出はこの日本では難しいことでした。一方で障害者年金が増加していくことも考えられない。親が死んだ後も障がいのある子たちがこの日本の各地域で、仕事をして収入を得て、安心して生きていける未来をつくらないといけません。最後は誰も責任を取ってはくれない。私たちのような親や家族などの当事者は、障害者支援は職業やボランティアではなく自分事、異動も転職も引退もありません。自分たちの未来のために本気で取り組まないといけない。障害者手帳を持つ人は全国で約750万人、その家族を考えると当事者は数千万人。多くの人が同じ悩みを抱えているのです。しかし、良いことをしていても事業として継続可能なものでなければ、寄付や助成金が得られなければ活動は継続できません。社会課題の解決のためのボランティア活動を10年ほど行ってきましたが、他の仕事での経済的余裕があった時は良かったですが、リーマンショック後に一文無しになった時に、社会を変えるためには綺麗ごとではなくちゃんと食っていける強い事業をまずつくっていかないといけないと実感しました。』
ーーーーーーーーーー具体的にはどのように?
『日本には5,000箇所くらいの障害者就労施設があるのですが、そこを経由してオーラルピースを販売するビジネスモデルを考えました。産業が空洞化し、消費人口は減少していく日本で、各地域で仕事を生み出していかなくてはいけません。生産では雇用場所は限定されますし、製造では販売利益ほどの利益を得られないのが実情です。ではどうやって北海道から沖縄までの各地で障害者の仕事を同時に生み出していくのか?それがオーラルピースのビジネスモデルです。地域の高齢者にとって有用性の高い、競争力のある製品を地域の障害者がお届けする、いわば日本版BOPビジネスです。高齢者の健康寿命を伸延、介護負担やコストを引き下げるという社会に役に立つ仕事を障害者が担っていくような、今まで世界になかった新しい仕事の循環モデルになれば良いなと思っています。現在、僕らは2人の会社なのですが、同じ志を持つ70名を超えるサポートメンバーがこの事業を支え、今のプロジェクトができています。今年の秋からはスカンジナビアやヨーロッパへの輸出も始まります。まずは自分たちに出来ることから未来を変えていきたい。できるかできないか、canかcannotではなくて、willかwill notで日本から世界にオーラルピースを広めていきたいです。』
笑顔が素敵な手島さん。マスマスをもっと盛り上げるためにいろんなアイデアもお話いただきました!(感謝)
ヨコハマから起業する
ーーーーーーーーーー世界を舞台に挑戦しようとしている手島さんですが、横浜にあるコワーキングスペースmass×massを拠点に活動をしているのはなぜですか。
『一人でやってると_知の限界があります。シリコンバレーではないけれど、ここへ来れば、ビジネスベースでそれぞれが助け合う小さなコミュニティが作れそうな感じがあります。コミュニティワークスペースで多くの人との情報交換、交流することが新しい価値を生み出していくことにつながります。それと、mass×massは横浜でも関内の臨海側という一等地に事務所があるので対外的に信頼性が高いということ。また行政機関と非常に近く、銀行の支店にも近いのは便利です。地方から関東、海外から日本に来ようとしている人がまず横浜から事業を始めるのは良いかもしれません。』
起業家にとって大切なのは“出会い””縁”。シェアオフィス、コワーキングスペースがある事が、起業家にとってはもちろん、地域や街にも必ず良い影響があるはず、と手島さん。
一つひとつの”ご縁”を大切にしてきたという手島さん。いまでは日本の社会問題を解決する大きなプロジェクトに発展していますが、始まりはとても身近な”ご縁”にありました。
そのような身近な”ご縁”を大切にするところから社会的課題を解決する革新的なソーシャルビジネスは生まれるのかもしれません。
・オーラルピースはmass×mass関内フューチャーセンターでも絶賛販売中!詳しくはコンシェルジュまで。
・株式会社トライフ オーラルピース: http://oralpeace.com/
・「JAPAN Venture Awards 2015」において最高位賞である「経済産業大臣賞」を受賞:http://oralpeace.com/blog/2016
・オーラルピースの大きな魅力として、水がない場所でもどこでも口腔ケアが出来るということ。そういった視点からアウトドアのキャンプやフェスなどのシーンでも、今注目され始めているとのこと。詳しくはこちら
▶︎TENTO
『かながわの間伐材を使用したクリエイティブスペース』
神奈川県山北町の森林組合の皆さんや、木材工房あしがらの皆さんと半年間一緒に汗を流しながら、ついに完成。
今後も横浜と山北をつなぐ活動を継続していきます。
平日10:00~17:00は内覧可能。その他の時間帯を希望の方は、一度ご相談ください。
横浜でシェアオフィス・コワーキングスペースにご興味のある方、お待ちしています。