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イベントレポート | 【田園都市で暮らす、働くを語ろう 第一回】あおば地域活動の最前線 -あおばの今を共有しよう

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田園都市で暮らす、働くプロジェクトとは

持続可能な郊外住宅地のためには、地域で新しい働き方が生まれ、充実したライフスタイルを送れることが大切と考えます。さまざまなプログラムを通じて、田園都市沿線での豊かで新しい暮らし方・働き方を創出するプロジェクトです。

▶︎次世代郊外まちづくりの活動の一環です。

 
田園都市沿線で働いている方々、起業された方々、自分らしい暮らしや働き方を実践されている方々をお招きし、チャレンジしていること、新しい兆しなど”今の青葉”について語るイベント「田園都市で暮らす、働くを語ろう」。
 
第一回のテーマは「あおば地域活動の最前線 -あおばの今を共有しよう」という事で、たまプラーザ駅前通り商店会会長の小松礼次郎さん横浜鴨志田郵便局長 / 鴨志田町内会会長の戸塚昌行さん(公財)ダイヤ高齢社会研究財団主任研究員の澤岡詩野さんをお招きして、あおばの最前線についてお話しいただきました。モデレーターは弊社代表の治田が務めます。
 
どんなトークとなったのかレポートでお届けします。
 
 

ゲストスピーカー紹介

 

たまプラーザ駅前通り商店会会長
小松礼次郎さん

昭和調剤薬局勤務、たまプラーザ駅前通り商店会会長12年目
現在、青葉区商店街連合会会長を筆頭に
美しが丘西保木公園愛護会
美しが丘1丁目自治会副会長
地区社会福祉協議会
青葉区交通安全協会美しが丘支部
青葉区スポーツ推進委員会
明るい選挙推進委員
活動しています。

 

横浜鴨志田郵便局長 / 鴨志田町内会会長
戸塚昌行さん

これまでに、鴨志田緑小学校及び鴨志田中学校のPTA会長を計8年務める。
PTAで経験した「組織を残すためでなく、“子どもたちのために”という目的を残すことが大切」という考えは、今の鴨志田町内会活動のもとに。
町内会の一番大切な活動は、「住民一人ひとりに地域の情報を届けて、人と人がつながっていくこと」と考えている。

 

(公財)ダイヤ高齢社会研究財団主任研究員
澤岡詩野さん

青葉区在住。
建築学科卒業後、空間としての場所ではなく、人のつながりがうまれる「居場所」に関心をもち、
現在は超高齢社会のまちの居場所の在り方を研究している。
特に、知り合い以上、友人未満の「ゆるやか」なつながりに注目し、居場所としての行きつけのお店や公園などの可能性を模索している。

 
 

[イントロ] 横浜市建築局住宅再生課 たじま様

 
横浜市は「持続可能な住宅地推進プロジェクト」として、郊外住宅地の再生に関する様々な取り組みを地域住民、民間企業、大学と一緒に行ってきました。東急田園都市線沿線地域では、「田園都市で暮らす・働く」をテーマとして、町の課題解決につながる取組を進めています。

持続可能な住宅地推進プロジェクトは、地域の人たちと共に、新しく豊かな暮らし方、働き方を考えて、創っていこうという取組みです。たじまさんはこのプロジェクトについて、「住む場所というだけではなく、新しい働き方が生まれて、そこに暮らす人々が、充実したライフスタイルを送っている、という姿を思い描いています」と説明します。今回のトークイベントも、その取り組みの一環です。

2012年、たまプラーザ駅北側エリアが「モデル地区」に指定され、2018年には東急田園都市線沿線地域において「田園都市で暮らす、働く」がスタートしました。今回は「あおば地域活動の最前線」ということで、青葉区で活躍する3名の住民の方々からお話しを伺います。
 
 

[ゲストスピーカー] 小松礼次郎さん



 
昭和町調剤薬局に勤務、たまプラーザ駅前通り商店会会長を務め12年目の小松礼次郎さんは、現在、青葉区商店街連合会会長を筆頭に複数の地域団体に所属しています。たまプラーザの町や人々の暮らしが移り変わる姿を20年以上見てきた小松さんに、地域全体での取組みや、コロナウイルスによる町の変化など伺いました。

非常事態宣言で町の経済活動がストップする中、まず取り組んだのは情報収集でした。たまプラーザの商店会に加え、青葉区にある14の商店会に現状のヒアリング調査を行い『テイクアウト青葉区』が生まれました。「地域の飲食店を助けようと、若手が中心になってテイクアウト情報をまとめFacebookに掲載したのが、4月2日のことです」と小松さんは話します。迅速な取り組みは、飲食店利用者だけでなく、店舗同士の繋がりが生まれるなど、双方にプラスの影響を与えたといいます。

今年は地域一帯で取り組んできた夏祭りも中止となり、先が見えない不安が続きます。小松さんは「戸惑いもありますが、まだまだやらなくてはいけないことがあります。みなさんの意見を聞きながら進めていきたい」と話しました。
 
 

[ゲストスピーカー] 戸塚昌行さん



 
横浜鴨志田郵便局長、鴨志田町内会副会長でもある戸塚さんは、職場である郵便局と同じ建物にお住まいです。職場と自宅が同じ場所にあることを最初は不安に感じていたそうですが、今は「恵まれた状況に感謝している」と言います。家族のためにも自分のためにも、地域づくりに携わることの大切さについてお話しいただきました。

郵便局には、日頃から地域のさまざまな人が集まります。非常事態宣言後、遠くの家族への支援物資や、フリマ商品の発送など郵便局を利用する人が急増しました。同時に、戸塚さんご自身が町内会幹部でもあるため、コロナのこと、給付金のこと、町内のことなど、住民にとって必要な情報を窓口で聞かれること増えたそうです。コロナ以降、お客様と郵便局の関わり方の変化を感じると戸塚さんは言います。

「窓口に来るのは主に高齢の方々で、いわゆる情報弱者です。インターネットで繋がれない人たちと地域はどうつながっていくのか、郵便局は媒体になり得ると感じました」。町内会の一番大切な活動は「住民1人ひとりに地域の情報を届けること」と考える戸塚さんは、郵便局のアナログな情報発信(張り紙、窓口)が今後、非常時に重要な役割を果たすことになると考えています。
 
 

[ゲストスピーカー] 澤岡詩野さん



 
(公財)ダイヤ高齢社会研究財団主任研究員、澤岡さんは、空間としての場所ではなく、人のつながりが生まれる「居場所」に関心を持ち、現在は超高齢者社会のまちの居場所の在り方を研究しています。生まれも育ちもずっと青葉区の澤岡さんは、これまで地元を研究対象としては見ていなかったそうですが外出自粛期間を経て、その認識が変わったと言います。

澤岡さんは聴講者に、自粛期間中の2カ月を振り返る質問を3つ投げかけました。
1つ目の「自宅が息苦しく感じることはありましたか?」では、澤岡さんご自身が「苦しかった」と振り返ります。「居なくてはならない場所」としての自宅に閉塞感を感じたといいます。
次に「地元で買い物することが増えたか?」では、いままで通り過ぎるだけだった地元店舗でのテイクアウトが、生活の楽しみのひとつになったことで、地元愛が芽生えたそうです。
最後の「今までより地元で気になることが増えたか?」についても、都内の職場と自宅の往復生活だけでは気付けなかったことに、目が行くようになったといいます。

「豊かな暮らしのリサーチの場として、地元は最適なのでは」と感じた澤岡さんは、自宅で二つの試みを行いました。
「みんなの鯉のぼり」では、毎日9~17時に家の外に向けて鯉のぼりを掲げました。鯉のぼりを見て立ち止まる人同士で会話が生まれ、町の立ち寄りスポットとして機能しました。
「みんなのとしょかん」は、自宅の玄関先に本棚を置いて本を貸し出す試みです。持ち去られても差し支えない本と、自由帳を並べて、手作り感満載の小さな図書館として設えました。小学校、コミュニティハウス、図書館がお休みになる中、玄関先の小さな図書館には、本を寄付してくれる人が多数あらわれるなど、本を介した匿名性の繋がりが生まれたといいます。

「時代は公共から『セミパブリック』へ変わってきました。今までのような、公共や大きな団体が地域を動かす時代ではないと感じます」。と澤岡さんは言います。街角に花を生ける、小さな木箱をベンチにする、など沢山の個人が「セミパブリック」な場を企画するだけで、暮らしに豊かさがもたらされます。
自粛生活は、すべての人にとって地元が「居なくてはならない場所」となりました。これは、今後迎える超高齢化社会の疑似体験とも言えます。「地元に心地よい居場所を作るために、大きな仕掛けはいりません。友人未満、仲間以上の緩やかな繋がりは、少しの工夫から生まれます」と澤岡さんは語りました。
 
 

[クロストーク] 横浜市青葉区高齢障害支援課、伊藤担当係長

トークイベントの最後は、3名のゲストに横浜市青葉区高齢障害支援課の伊藤担当係長と、進行役の弊社・治田友香を交えたクロストークを行いました。先の澤岡先生から出された3つの質問に、聴講者が答える形でスタートしました。
 

 

Q1:自宅が息苦しく感じることがありましたか?

Yes…27%
ときどき…41%
No…32%
 
息苦しく感じないと答えた人が、Yesより若干多く、聴講者のみなさんは家での過ごし方が上手いという声があがりました。青葉区の方々に関しては、自宅にワークスペースを持っている人が多いのでは?という指摘もありましたが、商店街にワークスペースあれば良いのではという意見も出ました。
 

Q2:地元で買い物することが増えましたか?

Yes…94%
No…6%
 
外出自粛の影響が大きく出る結果となりました。また、お店側もお客側も同じように、初めての事態への不安があるため、会話が生まれ「お店の人と親しくなるきっかけになった」(小松さん)といいます。いままでは敷居が高いと思っていたけど、親しみやすさを感じたという意見もありました。
 

Q3:今までより地元で気になることが増えましたか?

気になることが増えた…78%
いつも通りだった…19%
それほど気にならなかった…3%
 
こちらも地元に目を向ける人が増えたことを裏付ける結果となりました。青葉区では区内の郵便局の掲示板にテイクアウト情報を掲示することで「いままでより町を観察することが増えた」(戸塚さん)と言います。また、郵便局員は、来局者の些細な変化に気付くことがあるため、郵便局と地域のケアプラザの連携を模索しているとのことでした。
 
 


アンケート集計を見た後は、伊藤係長と治田による各ゲストとのトークが行われました。伊藤係長からの「地域活動で実際に人と人をつなげるとき、気を付けていることは?」との質問に、小松さんは「個々の強みを最大限引き出せるよう、遠慮はせずにその人が出来ることを100%お願いすることにしている」と答えました。
戸塚さんは、鴨志田エリアでの地域と大学を結び付ける取り組みについて「例えば、地元の大学がスポーツなどで活躍すれば、地域全体が盛り上がり、住民も元気になる。双方にとって大きな財産になるはずです」と話しました。
また、年配の方からオンライン会議システム「Zoom」をお茶会に使いたいという声があったことを受け、澤岡さんはお年寄り向けの「手引書」を作成したそうです。こちらは、全国コミュニティカフェのHPからダウンロードできるので、大いに共有して欲しいとのことでした。

ウィズコロナといわれる今後、地域での暮らし方について、それぞれの立ち位置から考え行動するゲストに対して「多彩な方々の活動あっての青葉区だと思います。これからも皆さんからの『やりたい』という最初の一歩をどう支えていくかが私たちの仕事です」と伊藤係長は言います。

ゆるやかに様々個人が繋がることが、求められている時代です。オンラインとリアルを上手く取り入れながら、これまで関わらなかった人が地域活動に参加する流れになるよう、地域の中で出来ることに目を向けていく姿勢が大切になります。
 
 
 
当日のアーカイブ動画はこちらのページアップしてありますので、あわせてご覧ください。

 
 
 

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