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《レポート》平成27年度ボランタリー団体成長支援事業 神奈川県NPO支援機関セミナー

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「mass×mass関内フューチャーセンター」を開設し、ソーシャルビジネスのインキュベーション施設、シェアオフィスを運営して5周年を迎えました。
これまでに社会課題や地域課題解決の担い手を発掘し、起業促進して社会貢献することを目的に人材育成事業を継続して行い、約800名の講座修了生を輩出しています。

この度、平成27年度ボランタリー団体支援事業に採択され、「NPO支援機関の専門力強化および、NPOと支援機関のマッチングによる中長期計画策定支援事業」を実施しました!
2015年5月から6月にNPOを始めとするソーシャルビジネス施策に対する理解の向上、県内NPO支援機関のネットワークの強化をめざした全3回のNPO支援機関のスタッフを対象にしたセミナー&ワークショップを行いました!
 
その3回のセミナー&ワークショップの様子をレポートします!

 

実施概要

第1回 5月20日(水)13:00~18:00
  ・NPOと社会的企業の概念、ビジネスモデルについて
    (中島智人氏、産業能率大学准教授)
 ・ワークショップ

第2回 6月3日(水)13:00~18:00
 ・NPO法人の認証について
    (関口宏聡氏、シーズ市民活動を支える制度をつくる会)
 ・クラウドファンディングについて
    (深野竜矢氏、ランクラウド株式会社代表取締役)
 ・ワークショップ

第3回 6月17日(水)13:00~18:00
  ・米国における市民参加、シビックテクノロジーについて
  (市川裕康氏、株式会社ソーシャルカンパニー代表取締役)
 ・海外における中間支援組織とその役割について
    (藤井敦史氏、立教大学教授)
 ・ワークショップ

場所:mass×mass関内フューチャーセンター
 

第1回 NPOと社会的企業の概念、ビジネスモデルについて

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講師:中島智人氏、産業能率大学准教授
 
普段、市民から相談される支援センターのスタッフが、実は相談したいことがたくさんあるのではないかとも感じた初回。
行政関係者を含む、各エリアの支援センターのスタッフが交じり合い、多少緊張した面持ちで会はスタートした。
第一回目の講師は、産業能率大学の中島智人氏。「社会的企業とはなにか」など、そもそもの地域と社会の関係性を学ぶ時間になった。日々の支援業務でリアルに接している方だけに、共感する部分や改めて理論で学ぶことで腑に落ちることがあるように見受けられた。また、難しい言葉が並ぶ中、
ノートにメモする方、話に共感して頷く方が大勢いた。
 
後半のワークショップでは、講座を聞くだけで終わりするのではなく、何が一番響いたのか、何が理解ができたのかを、シートに書き込み、参加者同士で書き込むことを行った。最初は、膨大な情報量の整理に追いつかない方もいたが、グループ内で相手の言葉を聞くことで、自己の経験とリンクする部分があったり、自分が発した言葉で共感を生む場面があったりと、沸々と活気がある場になった。この「聞いて、書いて、発表する」というプロセスは、支援機関にとって重要なプロセス。相談相手が何に困っているかを共に探る姿勢が生まれる。
前半の講義で頭をフルに使い、後半のワークショップで知識を整理してポイントを伝える言葉の練習が、このセミナーの醍醐味ではないだろうか。学んだことを所属する組織に伝えるだけでなく、このセミナーで知り合った同士と連携し、よりよい支援センターとして成長していく兆しが見えた気がした。

ワークショップ

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《統括》
キーワードとしては、「中間支援」という言葉が多く挙がった。そもそもの支援組織とはなにかという視点が各参加者にあったようだ。また、キーワードの補足理由を書くことで、同じ言葉でも、どの意味合いで書いているのかが参加者ごとに異なるので、多様な価値観があることをお互いが知れた。また、共有することで、仲間意識、学びの意欲が高まり、次回からより積極的に発表できる場となった。
 
《「地域のNPO支援センターに、これからどんな機能が求められるか」》
多くの人が、機能としてソフトコミュニケーションの要素を挙げた。目立った傾向としては下記の2つあった。
・専門的知識がある…「情報をたくさんもっている」「連携できるリソースがある」など
・親しみやすい …「相談しやすい」「一緒に考える」など
また一方で少数だが、施設としてのハードの機能を挙げる人も居た。
「自動販売機がある」「夜カフェ」「キッズスペース」など
 
 

第2回 NPO法人の認証について / クラウドファンディングについて

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講師:関口宏聡氏 シーズ市民活動を支える制度をつくる会
   深野竜矢氏 ランクラウド株式会社代表取締役
 
NPO法人を立ち上げる設立から、最近の動向までの基本を抑 えた前半のプログラム。本や資料などから知ることはできる が、長年活動している方からの経験を含めた話は参加者には 刺激があったようだ。 存在するNPOの数や、法人化する際のメリット・デメリット、 法人化した際に気をつけることなど、本来自らNPO法人を立 ち上げないと知るはずもない情報が満載の講義だった。継続 的に活動するための資金の問題や、必要となる報告書、ス タッフの役割など、学ぶ点が多かった。
 
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クラウドファンディングサイトの比較ができるサービスから、支援される特徴と傾向を学んだ講義だった。今後、中間支援センターで相談されるであろう「資金獲得の仕方」には、参加者も興味津津の様子だった。とはいえ、自身で支援やプロジェクトを起こしてみないとわからない仕組み。事例を聞いて、それを自分がアドバイスできるかどうかが一番の課題になりそうだと参加者は感じたかもしれない。まずは寄付をしてみる。それが一番の理解になりそうでもあった。
クラウドファンディングは、立ち上げ時期の団体や新しい段階に移る団体が活用する機会としては最適かもしれないが、中間支援センターとしては、クラウドファンディングの事例だけでなく、支援する活動内容をしっかり理解する必要があると感じた。
 

ワークショップ

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《統括》
法人化、資金調達と、組織を運営するために必要なことを振り返り、やりがいを感 じる一方で学ぶべきことの多さを実感した1日であったようだ。 自分たちができることをしっかり見つめて、目的と手段を間違えないようにしたい という声も聞こえた。専門性を持って支援する役割を果たしたいという内容も見受けられた。
 
《相談したくなるチームとは?》
キーワードとして多く出たのが「信頼」であった。その背景に、親身になることや、相手との関係性をつなぐという要素があった。次に多かったのが、「専門性」「知識」といったキーワードだった。
また、「的確に答えてくれる」といった具体的な姿勢を出す人もいた。多くの意見を聞くことで、中間支援センターが必要な意識や考え方を改めて確認することができ、自団体でのスタンスに活かせる雰囲気となった。
 
 

第3回 米国における市民参加、シビックテクノロジーについて / 海外における中間支援組織とその役割について

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講師:市川裕康氏 株式会社ソーシャルカンパニー代表取締役
   藤井敦史氏 立教大学教授
 
広報の仕方、団体のブランディングの方法として、SNSの使い 方や載せるべき情報、発信のタイミングなどを学んだ講義だった。 インターネット技術の進歩で多くのことが低コストでできるよう になったが、インターネットをうまく使いこなせる人が増えたか というと話は別。支援する側がインターネットで知った気になら ず、情報を発信するだけではなく、情報を知りたい人にきちんと 届けることが大事だということを学んだ。 普段パソコンや携帯電話をコミュニケーションの一種として活用 しているが、仕事として情報を効率よく効果的に届けるようにす るためには、参加者にとってはひとつの課題のようだった。
 
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そもそもの中間支援組織(インフラストラクチャー組織)の意味を学んだ講義だった。特に震災後の神戸での支援の動きを事例とした時、具体的な話が聞けて、参加者は学びが深かったようだった。自立を促すためにどこまで関わるか、またどこまで支援するのか、時間の経過とともにその役割が変化することも興味深かった。
また、海外の事例と比較することで、組織の機能として必要なものや関わる範囲が勉強になった。あらゆる資源のネットワーク化とその資源の活用の仕方が、中間支援者の腕の見せどころとなりそうだ。
 

ワークショップ

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《統括》
社会的に必要な組織がどういうスタンスかを共有できる時間となった。計3回の意 見交換により、各組織に戻った時にも視点が広がる会話を広げようとする意識が芽 生えたようだ。 「支えるから支えあう」「連帯経済」など、一方方向だけの支援ではなく、相談者 と同じ目線になってものごとを考える必要性を感じた振り返りの時間だった。
 
《NPOに参加したくなる仕掛けとは?》
参加・支援される側の立場になり、何があればNPOやボランティアに行きたくなる かを考える時間を作れたのも参加者にとってはよかったのかもしれない。誰の視点 でものごとを考えるのかを共有することで、自分にはない価値観を得たようだった。 意見とした多かったのが、参加者へのメリットづくり。団体の活動の達成だけでな く、個人の目標達成をいかに作れるのか、参加者は意見交換を重ねた。

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