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エクスチャージ株式会社 澤幡 知晴さん 『未電化地域に電気を届けて、誰もがコミュニケーションをとれる世界に』

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こんにちは。マスマスのスタッフの堀篭です。
今年4月からスタッフとして関わらせていただくことになりました。

そこで入居者さんのことをもっと知るため、マスマスをもっと知るために、インタビュー企画を開始!
今回、お話を伺ったのは、澤幡知晴さん。

毎日の暮らしといえば、家事をしたり、テレビを見たり、スマホでメールや電話をかけたり、電気を使うことが多いですよね。
日本では当たり前ですが、世界の貧しい地域にはまだまだ電気が通じておらず、夜の照明や携帯電話の充電すらできない厳しい生活を余儀なくされている人たちがいます。
東日本大震災の際、オール電化のマンションに住んでいた澤幡さんご自身も一時停電したときに電気のない生活がいかに困難かを感じたと言います。

澤幡知晴さんは、「未電化地域に電気を届けるたい」という想いから、株式会社エクスチャージを設立しました。
今回はオフグリットな電力システムを作って社会を良くする活動をされている澤幡さんに、エクスチャージ株式会社を始めたきっかけ、はじめてみてどんな苦労があったのか、そして今後の展望についてざっくばらんにお伺いしました!


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澤幡知晴さん
エクスチャージ株式会社の澤幡です。途上国で、自動車の余剰電力を利用した電力供給システムを提案しています。昨年はバングラデシュのトラクターの会社で購入いただき、好評いただいております。今後も途上国で販売を伸ばしていきたいと存じます。
エクスチャージ株式会社 www.excharge.net/
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──── 震災のときはオール電化のマンションにいらしたんですか。当時、電気はどうしていたんですか?

澤幡さん 様々な方法を検討しました。例えばアタッシュケースの形をした持ち運びできる太陽電池。100Vの出力が可能ですが、100Wで15分程度しか持たない。発電機なら騒音や排気ガスの問題がある。より良い方法はないか考えていました。

 ある日オイル交換をして、座って待っていたら、バッテリーの宣伝パネルが目の前に。一般的な車は満充電になってもバッテリーを充電していると書かれていました。これを利用してもいいなと思い、調べていくうちに、それはキャンピングカーなどでも使われていて、実装にはかなりの費用がかかることがわかりました。

 

澤幡さん 軽自動車とか中古車を持っている人たちが電気使えないと困るよなって震災の姿を見ていて思ったんです。
それじゃあってことで安全に容易に安くできないかなと試作を続けるうちに、サブバッテリーが車内に固定になっていると、停電したときに、機械式駐車場に止めている人は電気を使えないことに気づいて、取り出せる形にしていきました。

しかし、我々の仕様にあったコネクタがなくて、これを仲間と一緒に検討することになります。

ただ、コネクタを工場に依頼するにも法人格がないとできないことが分かったので会社を持ちたいと思ったんです。
そんな時にmass×massで治田さんに出会いました。

 

──── それはいつ頃でしたか?初めてmass×massにいらしたのは。

澤幡さん 2013 年の中頃ですかね。ある日mass×massで「40億人のためのビジネスアイデア・コンテスト」の説明会があったんです。その説明会で流れた映像の中に停電するシーンがありました。なんだ、これなら手伝えるねって思った んですよ。
それで、この「40億人のためのビジネスアイデア・コンテスト」に出てみるかってなって応募したのですが、色々叩き上げていったら161件中2位の優秀賞をもらった。これがきっかけで会社立てられるなと思い、昨年の2月に会社を設立しました。

 

──── いきなり2位の優秀賞ですか。それはすごいですね!

澤幡さん なので、そのコンテストを主催している会社が支援してくださったので少しずつ仕事をしてきました。

 

 

──── 澤幡さんはFAAVO横浜でクラウドファンディングにも挑戦していますよね。実際やってみてどうですか?
◎FAAVO横浜の澤幡さんのプロジェクト:https://faavo.jp/yokohama/project/541

澤幡さん ちょうど販路を開拓していくなかで、お土産屋さんにあったハチミツを輸入したいなって思ったんですよ。でも、ハチミツを採ってる人たちは電気がないところで作業をし、とても搾取されている状況が分かってきました。どうにか彼らを助けたいと思い、FAAVOというのは社会的な課題を解決するというところがあるのでクラウドファンディングに取り組んでいます。

 


※プロジェクト締切は2015年5月31日まで!

 

──── 「電力×はちみつ」ってユニークですよね。なかなか結びつかなそうです。

澤幡さん 今年、第2回ビジネスコンテストがあったんですけど、終わった後の懇親会でビジコンを主催していた会社の方が「うちのところでもハチミツ採ってるところがあるんだよ」っておっしゃっていて、そこは電気が来ていないということでした。きっと、ハチミツを採ってるところというのは他の産業がないってところも多くて。なので、電気が来ていないところがけっこう多い。未電化地域とハチミツはなんだかリンクしているのがわかってきました。だから世界中にハチミツを探しに行くかもしれない(笑)。そこが未電化地域と は限らないけど、そういうところに雇用を生んで環境にも優しい電気ということでやってあげたいなとは思いますね。

 

 

──── そうすると、僕の個人的なとこで聞くと、未電化地域がなくなっていく、エクスチャージが世界に普及したら、どんな世界が待っているんだろうか、気になります。その後、どんな世界を描いてらっしゃるんですか。

澤幡さん できればコネクターをアップグレードしてそこにチップを埋め込み、全体がどんだけの電力を持っているのか分かる仕組みにしていって、それを一つの仮想電力会社みたいな形にしていきたいと思っています。

 

──── それぞれの地域に?

澤幡さん 例えばそれぞれの地域に宅配会社があったとします。この車はバッテリーを何ワット持ってて、あっちの車は何ワット持っているというのがわかると、どれだけの電力が全体であるか分かるじゃないですか。そうすれば、電力が足りてない地域を補完しあえる。

──── うんうん。

 

 

澤幡さん それともう一つは、未電化地域の宅配会社には冷蔵庫がないので、アイスクリームとか冷たいもの、それ以前に医療用のワクチンとかも運べないんです。日本から送られてくるワクチンも、バングラデシュの夏は暑いので運ぶときの温度調整が難しく、大量に破棄されているという話を聞いたことがあります。

 

──── そもそもの問題じゃないですか。

澤幡さん そういうコールドチェーンがないところにも冷蔵庫を使えるように電気を届けたいんです。あとはパソコンも使えるようにして、先生がいないところでも教育が受けられるようにしたい。電気が使えるようになれば全然違う世界ができてくるんじゃないかな。

 

 

──── つまり、10年後、20年後にはバスに必ずエクスチャージが入ってるとか、一家に一台エクスチャージを使っている、そういうイメージでしょうか?

澤幡さん そうなってくれるといいですね。エクスチャージは使うのに専門知識はあまり必要ありません。簡単に扱えます。

 

──── たとえば、貧しい地域には言葉がわからない、文字が読めない人も多いと思うんですが、そういう方たちでも簡単に扱えるんでしょうか?

澤幡さん できると思いますね。ますますこれからそういう風にしていきますよ。アフリカに送るのは充電器がシガーソケットなので突っ込めば使えるようになっているんですよ。工事がいらない。カチッとやるだけで使えるようになる。

 

──── なるほど。誰でも使えるというのはとても良いポイントですね!ましてや、途上国のかたでも扱えるくらい簡単で、力も必要無いというのは普及してく上で重要なんじゃないでしょうか。

 

 

澤幡さん 「人類資金」という映画があります。その映画の中でPDA(携帯情報端末)を配るシーンがあるんですけど、どこで充電しているんだろうって思ったんです。

──── 映画の中ではみんな使っているけど、それさえもままならないのが現実なんだと。

澤幡さん そういうことだと思います。電波が届く地域はあるんですけど、充電ができない。でも人間がコミュニケーションをとるということはすごく重要で、それによって弱者も守られていくと思うんですね。映画の中で明かされることですが、世界の7割の人間は電話さえかけたことがないそうです。

 

──── 7割ですか!

澤幡さん だからまだまだ電化すべきところはあると思っています。私は以前携帯電話関連の仕事をしていたので、やはり電気を通すということ、そして次はコミュニケーションがあると思うんですよ。

 

──── それ、すごくいいことですね。澤幡さんがこれまでやってきたこと、コミュニケーションを円滑にするってことをやってきたからそうなった。
澤幡さん それをやるためには、電気が必要だった。一生懸命GoogleとかFacebookが世界中に気球をとばして、電波を飛ばして、携帯を使えるようにしていま す。じゃあ電気はどうするのっていったら、今のところソーラーしかないんですよね。でもバングラデシュでは半年間は雨季で発電量も少ないんです。

 

──── 今後、事業展開していく上でこういう人とコラボしたいなとか、そういうのってありますか?

澤幡さん 最初は途上国で電気に困っている人たちを助けたいと思いますが、その電力をちゃんと配給できる、つまり宅配システムをもっているような会社と組んでいきたいなと思っています。たとえば、コンビニに商品を卸すためにトラックを持っている会社は、エクスチャージがあれば電気がたくさん貯まるはず。そういうところと協力していきたい。

将来的にはやっぱりコミュニケーションの世界、つまりそれがあることによってみんな授業が受けられるし、コミュニケーション取れるし、仕事にありつける世界を実現したい

 

 

──── マスマスに入ってからご自身の中で変わったことはありますか?

澤幡さん 周りの人とコミュニケーションを取れるのは良いですよね。ぼくはアメリカの大学で研究していたこともあるので、そのスタイルに似ている感じがあります。元に戻るというか、そういう雰囲気に戻れるっていうのは良かったと思う。会社にいるといろんなルールや縛りがあると思いますが、今はそれから解放されて自由にやってる感じはありますね。

 

──── ご自身の働き方にあっていると。

澤幡さん そうですね。毎日来るわけではないので、使いたい時にだけ使える。そういうスタイルがいいです。

・エクスチャージ株式会社:http://www.excharge.net/
・FAAVO横浜 澤幡さんのプロジェクトはこちら:https://faavo.jp/yokohama/project/541
※クラウドファンディングとは、ある「志」を持った人や団体に対する資金を、ネットを通じて多数の支援者から収集し実現する手法。FAAVOとは、“地域を盛り上げるプロジェクト”に特化したクラウドファンディングサービス。澤幡さんはFAAVO横浜でクラウドファンディングに挑戦中です!
ご興味を持たれた方、活動を応援したいと思った方は、是非そのお気持ちご支援に!