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横浜でソーシャルビジネスに取り組む起業家が描く5年先の未来とは【EVENT REPORT】

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2019年3月2日に「ヨコハマ・イノベーションスクラム・プログラム」の成果発表会を開催しました。

あらためて、ヨコハマ・イノベーションスクラム・プログラムとはーーー

私たち、関内イノベーションイニシアティブ(通称:Kii)が横浜市より受託しているソーシャルビジネス成長支援事業。ソーシャルビジネス事業者の皆さんを対象に、講義、アドバイザーのメンタリング、プロボノによるサポートなど、盛りだくさんの伴走支援を行ってきました。期間中のアクションで見えてきたことやメンタリングを踏まえて、さらなる計画を練ったり体制を整えたり、それぞれが成果を出すべく邁進し、ついに迎えた成果発表会となりました!

会場は、馬車道駅にあるYCC ヨコハマ創造都市センター。
事業者それぞれが緊張感を持ちながらも、半年分の成果をしっかりと伝えようとする姿をレポートします!
 
 

横浜を舞台にソーシャルビジネスに取り組む起業家によるプレゼン

 
「横浜から発信!ソーシャルビジネスの5年先の未来を描こう」と題した成果発表会には、プログラムにこれまで関わりのあった方だけでなく、事業者の取り組む社会課題やその分野に関心を寄せる方や、プロボノに関心を持つ一般の方など、たくさんの方にご来場いただきました。
 


 
審査会から見守ってきたアドバイザーも集い、各プレゼンに対して、アドバイザーもプロボノも事務局スタッフもそれぞれがコメントを寄せました。まさにソーシャルビジネスを行う事業者とともに皆が“スクラム”を組んで成果に導いた6ヶ月間の集大成となりました。
 
 

親子カフェが未来をつくる / 親子カフェことろん

 

 
ソーシャルビジネス・スタートアップ講座修了後、2016年に大船初の親子カフェをオープンした房前麻子さん。ママや子どもたちが気兼ねなく過ごせる場としてカフェを運営しています。起業後なかなか経営が軌道に乗らず、黒字化が目下の課題ということで、当プログラムにエントリー。同時期にヨコハマ市民まち普請事業にも挑戦していて、地域企業とともにイベントを行ったり、プロボノと話し合いを重ねたり、事業の今後を考えた半年間となりました。
 

 
プロボノの皆さんからは、これまでなかったナイトタイムの利用や、コワーキングスペースとしての活用のアイディアが出され、この期間中にさっそくトライアルしたことなどが発表されました。今後はNPO法人化も視野に入れている房前さん。地域の人たちや企業のみなさんと関わりながら事業をすすめていく予定です。
 
 

地域とともに障碍者福祉に取り組む / 社会福祉法人かたるべ会

 

 
横浜市内を拠点に、知的、精神、身体に障碍のある方の日中活動支援・生活支援を行っている社会福祉法人かたるべ会。障碍者のことを地域にもっと知ってもらうきっかけしたいという思いから、当プログラムにエントリー。福祉業界でなかなか出会うことのない、講師陣やアドバイザー、プロボノの皆さんから、さまざまな意見やアイディア、刺激が得られた半年間でした。
 

 
とくにプロボノの方々とは何度となく話し合いを重ねました。その中で、かたるべ会鈴木啓太さんは、「自分たちが思う以上に社会では障碍者について知られていない」「“共通言語”を持っていない」といったことを痛感したといいます。数多ある課題の中から、就労支援に焦点を定め、プロボノの皆さんによる支援がなされたことが発表されました。
今後、このプログラムを通して気づくことのできた“社会の理解との差”を踏まえ、事業を行っていってもらえたらと期待しています。
 
 

住民創発によるエネルギー事業! / 株式会社たまプラーザぶんぶん電力

 

 
東日本大震災をきっかけに、再生エネルギー100%の社会を目指して2011年に設立された株式会社たまプラーザぶんぶん電力。ソーラーパネルを使ったワークショップの実施や、断熱工事を行うなど、暮らしのなかで取り組む「創エネルギー」「省エネルギー」に取り組んできました。
 

 
しかし、メンバーの状況が創業時とは変化し、たまプラーザぶんぶん電力として事業を遂行していくことを断念。NPO法人森ノオトの一事業としてエネルギーに取り組んでいくことが発表されました。講義などを通して、事業とじっくり向き合った梅原昭子さん。会社は休眠という形になりましたが、エネルギーは大事なテーマ。これからも地域をベースに、エネルギー事業に取り組んでいただきたいと思います。
 
 

次の時代の産後ケアを広めたい! / 産後ケア ハンドレッド・スマイル

 

 
ソーシャルビジネス・スタートアップ講座修了後、産後ケアハンドレッド・スマイルを始めた内田眞由美さんと、それに賛同した助産師の宮崎悦子さん。産後に体力的にも精神的にも大変なママたちをサポートするため、さまざまな専門家が集い、活動を行っています。メンバー全員が複業で関わっているため、なかなか事業が進まず停滞していたこともあり当プログラムにエントリー。
 

 
プログラム中は、プロボノの支援として、モニター募集のチラシを改善し各地で配布したり、より分かりやすいWebサイト制作のために競合や類似サービスのリサーチなどを行ったりしました。実際モニターの方々にサービス提供することで、業務フローの改善点が見つかるなど、一歩ずつ事業を進められた半年間となりました。産後ケアは今の社会に必要なサービス。さらなる事業拡大を期待しています。
 
 

地産地消が横浜を変える! / 株式会社よこはまグリーンピース

 

 
最後に登壇したのは、横浜野菜を通して地産地消を進める各種活動を行っている株式会社よこはまグリーンピースの椿直樹さん。横浜市内で飲食店を2店舗経営している椿さんですが、一人で日々の調理から講演会登壇、商品開発など何でも行ってしまい、多忙な状況にありました。もっと食農教育に注力するためにということで当プログラムにエントリー。
 

 
プログラム期間中は、プロボノの方々とディスカッションを重ね、ときにプロボノの方は店舗にも赴き、実際にいま行っていることを棚卸していきました。そして、いま最も優先すべきは飲食店の経営を盤石にすることという結論に至りました。その上で、売上から食農教育などに資金を回していくプランを立てましたことなどが発表されました。食は人を幸せにします。安定的な経営と共に、横浜野菜でどんどん幸せな人を増やしていってほしいと思います。
 
 
 

さいごに


 
長いようであっという間ともいえる6ヶ月。講義とメンタリング、そして複数回のミーティング。事業と並行して進めることは決して楽ではありません。それでも、このプログラムを通して本気で事業や将来に向き合ったこと、アドバイザーやプロボノが親身になって助言してくれたことは、今後の大きな糧となっているはずです。
 
実際に昨年度、一昨年度支援を行った事業者の中には、事業規模の拡大や単年度黒字の達成など、発展を続けています。今回の5事業者の方々にも、ぜひとも当プログラムをきっかけに、さらなる発展をしていっていただきたいと願っています。
 
 
 

◎企画・運営
 
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関内イノベーションイニシアティブ株式会社
 
横浜関内関外地区の業務再生を目的に2011年に開設したソーシャルビジネスのインキュベーション施設の運営会社。シェアオフィス・コワーキングスペース・イベントスペースの3つのフロアがある「mass×mass関内フューチャーセンター」を運営。その他にも、スタートアップの企業やプロジェクトに地域で資金調達する仕組みとしての「FAAVO横浜」の運営、ソーシャルビジネスの起業家を育成する「ソーシャルビジネススタートアップ講座」等のスクール事業、コミュニティデザイン事業を行なう。コワーキングスペース、シェアオフィスには現在約90社が入居。社会起業家・NPO・ITベンチャー・各種士業・コピーライター・WEBデザイナーなど異業種コミュニティが増殖中。これまでに手掛けた起業講座の受講生は1000名を超える。

 
 
 
(text momoko takase /photo hiroyuki horigome)
 

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