こどもの頃に食べた、あの料理の味が忘れられない。
自分の暮らす、働くまちについて知らないことも沢山あります。
ちょっぴり野心のある料理人の想いが、私たちの日常をこれまたちょっぴり豊かにしてくれるかもしれません。
『横浜発!新しい食文化を創造するレシピ本をつくりたい!』
レシピ本を出版に挑戦したのは大ど根性ホルモン オーナーシェフの椿直樹さん。
今回はクラウドファンディングでのチャレンジは、椿さんの想い、そして横浜野菜の魅力を伝える大きな一歩になります。
ひっくり返るくらい衝撃を受けた横浜野菜との出会い
堀篭 実はこのインタビューの前に、椿さんのブログ「ローカルファースト」を全て読み返してみたんです。
椿さん あれ面白おかしくしか書いてないよ!?
堀篭 そこになんだか椿さんの人柄がにじみ出ていて、あっという間に読んでしまいました。
それで、改めてちゃんと椿さんの生い立ち、ここまでの道のりを知りたいなと思いました。
椿さん ありがとう。ぼくがコックになったきっかけは小学校5年生のとき。
母親が寝込んで、ご飯をなにか作ってくれって言われて目玉焼きを作ったんですよ。
目玉焼きなんてだれでも作れるじゃないですか。その目玉焼きをうちの母親がえらく褒めてくれて。「こんな美味しい目玉焼きは食べたことがない!」って。
「あ、おれコックになれるかも」って、そのときに思っちゃったんですよ。
それで、専門学校まで通ったんですけど、19歳のときにフランス料理のお店を紹介していただいてコックの道に入りました。
それからいくつかのお店やホテルで基礎を学びました。
堀篭 素敵なエピソードですね。
椿さん 横浜野菜と出会いはお店で47都道府県の野菜フェアをやることになったのがきっかけでした。
市場に神奈川県産の野菜を買いに行ったんです。他県の野菜は見たことのないものとか、ご当地野菜、ブランド野菜がたくさんあったのに、普通のスーパーに並んでるような、大根と長ネギとほうれん草と小松菜ぐらいしかないしかなくて。
堀篭 期待していたものと少し違ったんですね。
椿さん そう。
だけど、この4種の野菜がものすごい美味しかったんですよ! もう自分のコック人生がひっくり返るくらい美味しくて。
堀篭 ひっくり返るくらい!
椿さん うん。実際にひっくり返ったんだけどね。これはすごいなと思って!
それから、この野菜を作った人たちはどんな人たちなんだろうと思って。
それで八百屋に、農家さんを紹介してもらいました。
それで伺ったのが中山さん。
ただ、中山さんご自身もとてもいい人なんですけど、ご家族がとても嫌悪感を示されて。
それでも野菜を使いたいって言って。半年くらい通ったんですよ。当時は原付で週に3日くらい畑に通って店に行って。
堀篭 すごい……!!
椿さん どうしてもその人の野菜を使って料理がしたくて、通ったんです。
で、実際に作ったスペイン料理がすごく評判が良くて。神奈川にもこんなに美味しい野菜があるんですよって言ってもみなさん本当?って感じで。畑なんてないよね。って。
しかも横浜にもあるんですよって言っても本当ですか!?みたいな反応なんですよ。
これは広めないともったいないなっていう勝手な使命感が沸いてきて、あ、これで生きていけるんじゃないかなと思って。これで飯を食べていこうと。たぶん、よっぽど美味しかったんでしょうね。
実は、ぼく人参が子供の頃から大っ嫌いで。
ばあさんが、家庭菜園で人参を作っていて、人参ジュースをよく飲まされてたの。目が良くなるからって。
堀篭 それはつらい………
椿さん その時の人参ってすごく味が濃かったんですよ。人参の臭さもあって。
堀篭 人参って独特の香りがありますよね!
椿さん そうそう。でも、今思うと、お店に届く大量の人参は味も香りもしないんですよ。
あえて言うと、人参のカタチをした野菜、みたいに。
ただ地場野菜の人参のドレッシングをつくるときに生で食べた人参の味が、「子供の時にばあさんにやられたやつだ!」ってガツンときて。
堀篭 これが本物だと。
椿さん それが新鮮だったから美味しかったのかどうかはわからないけど、それだけ味のインパクトは一生残るんです。さらに誰がつくったっていうのがわかると、それは何にも変えられない価値、というか。食べ物としてね。
これを伝えなきゃいけないでしょ。って思いましたね。
堀篭 誰が作っているのか、が大事ということですか。
椿さん そうそう。
誰が、どんな想いを持ってつくっているのか。たぶん美味しいものをつくる人というのは、根っこが同じだと思っています。つまり、食べ手のことを第一に考えている。そういう人たちに会って話が聞きたくなった。
レシピ本を作ろうと思ったきっかけ
椿さん ずっと、地場野菜の魅力をもっと広めるにはどうしたらいいかなって考えてて、レシピ本はいいかもって思いついたんですね。まだまだ知らない人はたくさんいる。何度か出版社にレシピを書いて企画を持ち込んだこともあったのですが、どれもダメで。でも、夢というか、目標にはしていて。
それで、昨年、2015年12月くらいに、マスマスの治田さんと恒例の月一ミーティングをしていたときに、「何かしたいことないの?」と聞かれて。
レシピ本作りたいんですよっていったら、「あらいいじゃない」って。笑
クラウドファンディングやったら?って。
堀篭 そうだったんですか!
とても素敵なメンバーが揃っていますよね!
椿さん 本当に心強いんです!
編集は治田さんにご紹介していただいた森ノオトの北原まどかさん。編集関連の深い知識を持ち全体を見通し、冷静に判断する力はまさに頼りになる編集長です。
カメラマンはもちろん、川名マッキーさん。娘の七五三を撮ってもらったりとか、なにか雑誌に料理が乗る時とかにも撮ってもらったりとか。カメラの技術もそうだけど人間的にも大好きな方です。もう写真はこの人って決めてるんですよ。
そして、ぼくが一番苦手な事務に関しては成田弥土里さん。クラウドファンディングの事務仕事、書類作成など、とても丁寧に進めてくださる「信頼」出来る存在です。
(左から)北原まどかさん、川名マッキーさん、成田弥土里さん
堀篭 「信頼」の置けるメンバーが椿さんの周りにできてきた。
椿さん たぶん今までは、一人でやろうと思ってたんです。今回は違う。
本当に周りのメンバーの存在は大きいですよ。たぶん一人でもかけたらできなかった。
3人の存在は大きいです。
地場野菜の魅力を伝えるレシピ本
堀篭 それでは、最後に直球な質問。これからつくるレシピ本はどんな一冊にしたいですか?
椿さん もちろん、たくさんの人に届けたいですが、まずは、横浜の人に読んでもらいたいです。
堀篭 そうなんですね!
椿さん 横浜に住んでいながら、畑があるとか、生産者がいるということを知らない人がまだまだたくさんいるんじゃないですか。そういう意味では未来のシェフや農家さんのためにも残しておきたいと思っています。
一家に一冊この本があって、「今日は◯◯さんの畑に行ってみようか」とか「横浜醤油買ってようか」って会話が皆さんの食卓で生まれたら嬉しいです。
堀篭 読者の方にも畑に行って欲しいんですね。
椿さん 実際、生産者さんたちと出会って、うわーって喋られると、なんだかんだ、影響を受けると思うんですよ。
それぞれ個性があって、いろいろな想いを持ってされています。
彼らは大企業ではないから、ひとつひとつ丁寧に作っているわけですよ。それこそ、食べてもらう人のために。それがなくなっちゃうと、すごく寂しいじゃないですか。
家庭の醤油がみんな横浜醤油だったらなんか素敵じゃないですか。みんな横浜の醤油使ってるって。あるいは横浜の納豆を毎朝食べてたり。
それと、料理人の方々に手にしてもらって、簡単なレシピだからつまらないと思うんですけど、そこに関わるストーリーっていうのを知ってもらいたいです。あっ、こういう風にして生産者にあいにいけるのかなとか、こいつと気が合いそうだからちょっと行ってみようとか。
そこからなんか、今よりも一歩踏み出してもらって、地場野菜に興味を持ってもらってメニューに使ってもらえる可能性が増えるのかなって。
堀篭 まずは横浜野菜に興味を持ってもらって。椿さんとしてはその後、どんなアクションをしてもらいたいですか?
椿さん やっぱり、地場野菜を使ってもらいたい、食べてもらいたい。
堀篭 醤油だったら横浜醤油にしようとか?
椿さん 野菜だったら直売所に買いに行くとか。スーパーだったら地場野菜コーナーから選んでもらうとか。
食べないとわからないし、食べて美味しいって当たり前なんだけど、結局それを続けて欲しいですね。
支援者募集!
横浜発!新しい食文化を創造するレシピ本をつくりたい!
FAAVO横浜とは、「出身地と出身者をつなげる」をコンセプトに”地域を盛り上げるプロジェクトを応援するクラウドファンディングプラットホーム”。弊社株式会社関内イノベーションイニシアティブが事務局を担当。
椿さんの挑戦しているプロジェクト『横浜発!新しい食文化を創造するレシピ本をつくりたい!』は残り19日!!(2016年8月1日現在)
達成率は73%です。目標金額に達成しないと、振り込まれない、0か100か厳しい挑戦。ご支援は5000円から。支援金額に応じて、完成したレシピ本や、椿さんが経営をする大ど根性ホルモン1ヶ月飲み食べ放題定期券など、魅力的なリターン品が贈られます。
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