mass×mass
2Fシェアオフィス「TENTO」入居者
MARCH AND STORE
除村千春さん
横浜関内エリアにある空きビルの1F・2Fをリノベーションしてつくられたシェアオフィス/コワーキングスペースmass×massは地域をオモシロク、豊かにしたい人たちが学べるスクールやあたらしいチャレンジをはじめたい人達が集うコミュニティプラットフォーム。50席のコワーキングスペースと30席以上ある専有空間シェアオフィス、そしてワークショップスタジオの3つのフロアを運営しています。
いままで以上に幅広い分野の起業家・スペシャリストが集い、良いシナジーが生まれてきています。
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2015年春に誕生したシェアオフィス「TENTO」は、横浜の水源を守るプロジェクトとして、横浜の水源林の1つである山北の間伐材でつくられました。
入居しているメンバーはまちづくりや地域に関わるプロジェクトに関心がある方や関わりたいというモチベーションのある方々。
お話を伺ったのは、インテリアデザイナーであるMARCH AND STOREの除村千春さん。
飲食店やショップ、美容室をはじめとした様々な店舗設計を手がけられています。
また、ご自身のホームページのなかで、このように書かれています。
「お店づくりにおいては、地域との関わり合いに主眼を置き、生活の延長線上に存在した「商い」という姿を本来の純粋な形に戻すべく、見た目以上にどういう場を作るかということを深く掘り下げて考えています。」
今回はそんな除村さんに、インテリアデザイナーを目指したきっかけから、今後の展望についてお聞きしました!
お客さんもオーナーも愛着が湧くお店づくりを目指して
── インテリアデザイナーになりたいと考えたのはいつごろからですか?
除村さん 高校生の頃、ファッションに興味があり店舗にいかないと買えない服や、個性的な服を見るために原宿へよく行きました。
いろんなお店を見て回るうちに、お店自体にも魅力を感じ始めたんです。
── 洋服だけでなく、お店のつくりにも興味を持ったきっかけはなんでしょうか。
除村さん インテリアデザイナーの片山正通さんがつくった「A BATHING APE」のお店がとてもかっこよくて。
お店の入口から購入するところまで、全てがお客さん側にたった視点で設計されていると感じました。
商品が購入される場として、店舗デザインはブランドにとって非常に重要な要素を担っています。
買い物という一つの体験を設計すること。そこに興味が湧きました。
当時から裏原にいる人たちはハングリーでいろんなことに挑戦していました。そのエネルギーを感じられるお店に惹かれていて。
自分はどんなお店なら行きたいか。そこに来ている人はなぜわざわざ足を運ぶのか。考えているうちに自分もお店づくりに関わりたいと考えるようになりました。
▲除村さんが店舗設計し完成した「旬八キッチンアンドテーブル」
── 現在はどのようなお仕事をされていますか?
除村さん いまは飲食店や物販をはじめとした店舗設計をメインに行なっています。最近では、保育園や古民家をリノベーションするプロジェクトに携わったりもしています。
振り返るとビジョンや社会に対してメッセージを持ってお仕事をされている方々とプロジェクトを進めていくことが多くなってきました。商品を販売して利益を増やす前に、お店という場を社会にひらく、それを地域のなかの一部としてお店を捉えている人たちとご一緒することが増えていきていますね。
── 営利だけを追求しているというよりは、街の一部として自分のお店が存在している意識があるかどうか。
除村さん 独立前はそういうところと遠い人とのお仕事が多かったんです。当然、営利を追求することは悪いことではなくて、それがあるから健全な社会が形成されているとも思っています。ただ、いまはどちらにもフラットな自分がいて、自分の中の考えが整理されてきたかなと。
── 自分は地域への解像度が高い人たちと仕事をするということですね。良い仕事ができたと思う瞬間はどんなときですか?
除村さん 一番はそこを利用するお客さんの顔が見えたとき。次に、オーナーと喜びを分かち合えたときが一番嬉しいですね。
自分が全部デザインしよう、自己完結してかっこいいものをつくろうとは全く思っていなくて。
喜びを分かち合うには、つくっていく過程でどれくらい関われるかが大事になっていると思っています。つまり、あえて余白を残して、オーナーさんにも関わってもらい、料理できるエッセンスを入れておく。
そうすることで、お客さんにとっても自分のお店になるし、さらにオーナーにもお店への愛着が湧いて、一緒に作っている感覚になる。そういった体験はきっと残るものなので、大事にしています。
mass×massについて
── 事務所にmass×massを選んだきっかけを教えてください。
除村さん 独立してから最初は東京にいたんですが、横浜に拠点を移そうと考えていました。
それは、横浜は海があり自然と直結している。あと幼少期にたくさん遊びにきた場所でもあるんです。だから思い切って横浜に拠点を持つことは必然だったという気持ちもするし、自分のやりたい仕事への意思表示になるんじゃないかと思ったんです。
── なるほど、そうだったんですね。
除村さん インテリアデザイナーの仕事をしていると、どうしてもスクラップアンドビルドで、特に商業施設は短いスパンで壊し、建て直していきます。
そういう循環に疑問を感じていて、自分は環境負荷の少ない場に身を置きたいと感じていました。
そのなかで、シェアオフィスTENTOのコンセプトや間伐材を有効活用しているプロジェクトにはとても共感できたんです。
── コンセプトに共感してもらえているのはとても嬉しいです!
ぜひ今後の展望を教えてください!
除村さん シャッター通りになってしまった商店街の再生などに関わってみたいです。合理的で便利な世の中になりすぎてしまった世の中だから、人と人の単位で商売という従来の姿を取り戻すことで街にも店にも笑顔が戻ると思っています。
だから僕はマーチ(街)アンドストア(店)なんですよ。(笑)
── 名前の由来はそこからきていたんですね!本日はありがとうございました!
◆プロフィール
除村千春
◎MARCH AND STORE(マーチアンドストア):http://www.marchandstore.jp/
◎Instagram:https://www.instagram.com/chiharu_yokemura/
(text / photo : hiroyuki horigome)