シェアオフィスmass×massが毎月第1金曜日に開催している、トーク&交流イベント「mass×mass Cafe」。
7月は初の土曜日に開催しました!
ゲストにお迎えしたのは、mass×mass Cafeの1週間後に地元の三重県伊勢へUターン、実家の農家を継ぐ事を決めたデザイナーの楠木一徳さん。
2013年のマスマスでの講座【食と農のプロデューサー養成講座】に通ったことがキッカケに、ソニーでプロダクトデザインをしながら、在職中にさまざまなプロジェクトに関わり、PVプロボノ活動を通して、地域で活動するさまざまなNPOとの接点を作りながら、デザインのチカラで地域を豊かにする活動をしてきました。
7月のmass×mass Cafeでは、楠木さんに、これまでの活動を通じて意識してきたこと、マスマスの活用の仕方&プロボノを極めることで見えてくることについてお話を伺いました!
外に目を向ける、接点を持つことで自分の可能性を広げていく
しかし、mass×massにいるとよく見かけるんです。それはご自身が関わっているプロジェクトのことをふらっとmass×massによって弊社代表の治田に相談していたり、事あるごとにマスマスを上手に活用していただいていたからなんです。
今回のmass×mass Cafeでは、スタッフの森川とトークセッションのスタイルで楠木さんに「マスマスの活用の仕方&プロボノを極めることで見えてくること」などを伺いました!
森川 それではよろしくお願いします!
楠木さん 皆さん初めまして、楠木です。
テーマが次のキャリアということで、デザインの仕事をしているんですけど、実家の農家を継ぐ決意をしました。
その背景にもマスマスがあったから、というところで、いまの課題や考えていることの話しができたらと思います。
簡単な自己紹介なんですが、一昨日までソニーに勤めていました。工業デザインが本業で、これからやろうとしているのが農業です。
はじめはデザインの仕事をずっとしたいと思っていたんですけど、20年先のことを考える機会があって、マスマスを含め色々な場所に行っていろんな人の話を聞いたりしていたんです。
ちょうど横浜に住んでいたこともあり、マスマスに来る機会は多く、社会的なスタートアップ、ソーシャルビジネスを支援するという視点があるので、集まる人とかと、波長があって。それがマスマスと接点を持つきっかけになりましたね。
楠木さん 映像制作で社会貢献をするというPVプロボノ(http://pvprobono.com/)が、「都市と農村をつなぐ」をテーマにクリエイターを募集していたて。映像は専門ではなかったんですけど、農業というテーマだけで入れてもらいました。笑
そこでたまたま実家のある三重の案件があったんですけど、遠いから結構大変ということもあって。地元が三重の自分がディレクションするチャンスをいただいて。
一歩踏み出すと、誰かと誰かがつながったり、誰かと交流することで自分がもっていたフレームから飛び出すことも受け入れられるなとこの時感じました。
森川 ちょっと補足なんですけれど、プロボノというのは、ご自身が持っているスキル、楠木さんならデザインとか、税理士さんなら会計とか。自分の職のスキルを生かして非営利団体をサポートする、その一つの行為をプロボノと言います。
計画してないことも起こるということがまさにプロボノに参加している人のメリットなんですよね。
会社や組織に所属していると、ある一定の領域しかやらしてもらえない可能性もあるじゃないですか。飛び出せないですよね。
だから、あえてプロボノに身を投じることで、自分が想定していない様々な出来事と出会って、持てるスキルはある程度あるので、集まった仲間となにかをつくるっていうこういうがすごく良かったということですよね。
森川 ちなみに、どんな苦労がありました?
楠木さん ここでは人をまとめるという役割をさせてもらってました。
ゼロから、このプロジェクトは何のためにやって、誰が必要で、どんな力を持っている人がそれを発揮できたら機能するのか、そういうことを考えながらやっていましたね。
森川 それってまさに起業する、一人でなにかプロジェクトを始めたときに、まわりの第三者を巻き込んで、
「これはなんでやらないといけないのか」共感してもらって、なおかつ一緒にやってもらうというときにすごく活かせそうな体験かもしれませんね。
楠木さん 驚きだったのは、自分が全部てを動かさなくても意思ある人たちが集まったプロボノは動く体制ができたらすごくいいものが出来上がるということ。クライアントさんからもありがとうと言ってもらえる。
このプロセスを経験できたのはすごく大きかった。日常では得られない予想の出来ないトラブルも含め、つくることが好きなので、「つくるという定義の幅、範囲」が拡張したような経験でした。
それから、今日までの話をこれからしたいんですけど、マスマスに出入りしていたら、チラシ製作のお仕事をいただいて。
またそれがきっかけで、治田さんから横浜で教育に関わる活動をされている皆さんのチラシを作ることになって。
そして、次の年にはPVプロボノで映像をつくりましょう、と。予想も何もしていなかったんですけど、そういう出会いがマスマスに関わることであり、PVプロボノでも繋がれて仕事になったり。
3年前から面識はあったけど、そのあと繋がるかわからなかった人たちと、思いを持ち続けていると繋がれるんだというのが昨年たくさんありました。
そういう形でマスマスではお仕事をいただいたり、人づてにプロジェクトが発足したり、マスマスを活用したって紹介していただいたんですけど、使い倒したというか(笑)、ここへ来ればなにかあるだろうと。
森川 それは、楠木さんのコミュニケーション能力がベースにあって、その上にコラボレーションが乗ってくるんだと思います。きっと、何か持ってるものがあったんだと思うんですよね。
今回はそこに触れていきたいと思っています。
楠木さん 実は、かなり他力本願なところあって。
他人にすごい人事権があるなって、それを受け入れちゃおうかなってなってから色々な可能性が広がったのが、さっきもお話ししたPVプロボノという団体で。自分が思っている自分よりも、人が思ってくれる自分で動いた方が、それってもしかしたら可能性も拡張したりするのかなって。
会社でいう人事権を他人に任せる、意志がないというわけではないんですけれど、求められてできることはやろうという意志はありましたね。
森川 それすごく良いヒントになっている気がしますね。
一方で、その人に委ねるってみんなができるわけではないと思うんです。きっと余裕がないとできないですよね。
その自分の生活に余白がある、自分の時間を使ってもいいですよという余白を作ってたからこそ、そういうのに参加できたんじゃないのかなって思うんですけど。
楠木さん 時間の余白はほぼないんですけどね。笑 心の余白はあったと思います。
楠木さん PVプロボノで組織の運営に関わる中で、ボクそこでつまづきもあって。
スタートアップの疑似体験もさせてもらったんですけど、組織を動かす、スキルを生かすこと以外に、お金のこととか、社会のこととか、もっと視野を広げてスキルの生かし方を考えないとダメだなと感じました。
みんなに提供できる価値はなにかとか、そういうのをちゃんと発信するような仕事が欠けてたなというか、自分のスキルの使い方がもうちょっと違う使い方をした方が良いかな、というのを運営する立場になって感じました。
それがとてもいい課題だったので、自分の事業でデザイン活かせるのかなと思ってますね。
マスマスと関わることやいろいろな人と関わることで、たくさん勉強になりました。
これからも農業という枠とデザインという枠が、固定でみんなのイメージではあるところをどのようにほぐしたり、混ぜていけるのか、とても楽しみではありますので、宣伝にはなりますけど、伊勢でデザイン事務所をやります。
森川 宣伝だったんですね。笑
最後に質問したいんですけど、ソニーでお仕事をされている中で、他にもいろいろなコミュニティーに顔を出されているモチベーションはなんだったのか聞いてもいいですか。
楠木さん ひとつは、自分がやることにアイデアが枯渇してたんです。
だから違う刺激を与えないと仕事が進まないなと思いもありました。外に目を向けることで新しい刺激やアイデアを彫ろうと思ってました。
外に目を向ける、接点を持つことで、結果的にいい仕事ができるサイクルが実体験ではありました。
( 写真 / mass×massスタッフ )
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
今回は初めての土曜日開催にも関わらず、たくさんの方にお越しいただきました。
皆さん、それぞれですでに色んなことにチャレンジしながらも、それをこれからどう活かしていこうか模索している方々が多かった印象です。
自分のこれからのキャリアをどうしようか、不透明な世の中でポジティブに捉えつつも、なにかヒントを探っている様子。楠木さんの「人事権をひとに委ねてから色々な可能性が広がった」「プロボノを通じて想定外を経験することで、自分のキャパが拡張した」というコメントは、皆さんの肩の荷をほぐしているような印象を受けました。
ゲストとしてご登壇していただいた楠木さんのされているKUSUKI DESIGN。これまでのマスマスやプロボノでの経験や、人とのつながりを活かしながら伊勢でのご活躍を期待しています!
次回のマスマスカフェは9月2日金曜日19時スタート(18:30開場)ですー!
皆さんのお越しを楽しみにしています!