この秋、9/24(木)からスタートする“食と農のプロデューサー養成講座 第3期”。
受講生募集中!!
このプログラムは、マスマスを運営する関内イノベーションイニシアティブ株式会社が実施する食と農の分野であたらしい取組を学んだり、自身のプロジェクトをブラッシュアップするための講座形式の参加型ワークショッププログラム。
今回もメインコーディネーターに農家のこせがれネットワークの宮治勇輔さんをお招き。主にかながわ県内の生産者や飲食店、食と農の分野であたらしい価値を生み出しているゲストスピーカーを毎回お呼びしての講義&トークスタイルでの学びの場です。いよいよ3期目開講です!食の分野で何かプロジェクトを立ち上げたい、農についてもっと深く学びたい、ここ横浜・かながわエリアで暮らし働くメンバーが集うコミュニティプラットフォーム。ぜひエントリーお待ちしております!
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もはやおなじみ、メインコーディネーターであるNPO法人農家のこせがれネットワーク代表理事の宮治勇輔さんと、関内イノベーションイニシアティブ株式会社の代表治田友香の対談を通じて、本プログラム全体を通じて伝えたいこと、かながわ・横浜の食と農の現状について、講座の魅力、コミュニティが目指す未来についてお話いただきました。
常に注目を集めている食の安心安全。横浜エリア・かながわエリアでも多くの方々が新鮮・美味しい・安心できる食材を求めています。本講座を通じて、マスマスカレッジでは横浜・かながわエリアで活躍する【食と農のプロデューサー】を数多く生み出すことで、世界中から訪れたい街〈横浜・かながわ〉として、さらに豊かで魅力的な地域を目指します!
いよいよスタート、食と農 第3期!
治田 いよいよですね、“食と農のプロデューサー養成講座”の第3期。
宮治さん、今回もよろしくお願いします。
宮治さん こちらこそ、よろしくお願い致します。いやー、気がついたらもう3期目ですね。初めて実施したのが2012年の9月でしたから、3年前。今回もどんな受講生に出会えるのか、本当に楽しみです。
治田 この講座は毎回盛り上がりますからね(笑)
宮治さん たしか、治田さんに声を掛けていただいたのが最初のきっかけでしたよね。
治田 そうですね、きっかけとしては、以前携わっていた内閣府の地域社会雇用創造事業の一環として行なわれたビジネススクール「iSB公共未来塾・横浜」※ を企画運営していた時に【食の安心・安全】をテーマにした事業を起こしたいという人が多かったということでした。
そういった視点での飲食店、流通におけるイノベーションを手掛けたいと思った時に、どこに行けば学べるのか?そんな場所をつくりたい、と思ったのがきっかけですね。みんながみんな、目標とするお店や事業者に1、2年働きにいって実地で学ぶという選択が出来るわけでもなく。そういった視点で、もう少しこの分野について深く学べる場をつくれたら。そう思った時に宮治さんを顔がパッと浮かんで。
ぜひ一緒に!とお声掛けさせていただいたのがきっかけでしたね。
メインコーディネーターの宮治さん。マスマスはコワーキングスペースの入居者として、日頃から打ち合せ等でも活用中。
【農家のファミリービジネス研究会】発足!
NPO法人農家のこせがれネットワークの宮治勇輔さんと、UDS株式会社が提携、日本各地の農業を次世代へ伝承するために「農家のファミリービジネス研究会」を共同で発足することになりました。 来たる9月18日(金)に「星野佳路と考えるファミリービジネスマネジメント」著者である中沢康彦氏ゲストに、UDSが運営を手がける「農と食のコワーキングスペース銀座ファーマーズラボ」にてオープニングイベントを開催予定とのこと。研究会について、イベント概要、申込みは下記より!
宮治さん そうでした。お声掛けありがとうございます!(笑)
僕自身も地元神奈川で何か出来たらいいなと思っていた矢先だったので、ぜひにと。
治田 藤沢で養豚業〈みやじ豚〉をされながら、農家のこせがれネットワークという全国規模での活動もされている宮治さんであれば、生産者側の視点、農業という業界全体を俯瞰しつつ、いろいろなアドバイスをいただけるかなと、必ず良い場になるなと。
3期実施も、本当に嬉しいです。
受講することで見えてくること
治田 これまで多くの方が受講してくれました。この講座をきっかけに、地域で次へのステップを踏み出した受講生も多いですよね。
宮治さん そうですね。1人の生産者として受講してくれて、講座をきっかけに横浜市内・神奈川県内の飲食店さんと繋がって一気に販路が増えた方もいますしね。
治田 そうでした。ちょうど穫れたての朝穫れ野菜を求めている飲食店さんとのマッチングが出来て。あと、実際に青葉区でカフェをオープンされた方もいらっしゃって。
代表の治田。これまでの受講生の頑張りが、3期を実施する後押しに。
宮治さん そうでしたね!
今度みんなで行かないとですね。
僕が1つ印象に残っているのが受講生から言われたこんなひと言、「宮治さん、私はこの講座に出ることで本当にやりたいことに気がつきました。私は農業じゃなくて、作るほう“シェフ”がやりたいんです!」と。もともと農家のこせがれでもあった方なんですけど、突き詰めていくと、農家じゃなくて、つくられた作物をいかに美味しく食べてもらうか、そこの仕事に喜びを感じると。
本当にその人が何をやりたいのか。それに気がついてもらえたら。農家のこせがれネットワークでも同じようなことをテーマに掲げてやっているのですが、いきなり農に帰るということを選ぶのではなく、講座を通じて食と農の分野で活躍するロールモデルとなる事業家・生産者と触れ合う中で、自分がどこに魅力を感じ、何を軸にチャレンジしたいのか。そういうことに気がつける機会に講座がなってくれたらと。
治田 そうですね。意外と自分の価値ってわからない。今ある環境がどういった状況なのか、活用できる資源は何か、これまでの自分自身の棚卸しをしつつ、未来に向けて自分が持つ可能性に気がつくという事が大切だったりしますから。
宮治さん 僕としては農業者の方にぜひ参加してもらいたいですね。
農業者こそネットワークが必要だと思っていて、自分の強みである生産に特化したいのであれば、なおさらネットワークは重要になってくると。
特に神奈川県というのは三浦以外は大きな面積を有しながらの生産地ではないので、一種類の農作物をまとめて作って、まとめて市場に納めて稼ぐ、というスタイルは出来ないですよね。そういった部分ではいろいろなつながりの中でお客さんを紹介してもらったり、自身は生産に特化して加工の部分は誰かにお願いする等、いろいろな取組みが大事になってくると思うんです。
治田 そうですね、神奈川ならではのスタイルがあると私も思ってます。
多士済々の講師陣。今回も見逃せません。
宮治さん あと、僕自身も多くの地域でさまざま創業支援の活動に僕も関わってくるなかで、思うことなのですが、農業に関わらず自営業で最初の立ち上げ時期って、大体多くの人があれもやりたい、これもやりたいとなって、絞りきれず結果的に成果を1つもあげられないってことがあるんですよね。
自分のやりたいこと、軸をしっかり定めるというのは非常に大切なことだなと。
講師となるスピーカーの選定は2人で意見を交わしながら。それぞれの視点で今の食と農の分野のトップランナーにお声掛けしている。
治田 そうですね、そういうのって他者と話している内に自分自身でも気がついていく。頭の中のアイデアを言葉にしているうちに、やろうとしていることのボリュームに気がつく。
まず今の人員構成じゃ無理だなとか、ここはパートナーが必要だなとか。
宮治さん そうですね。
そういう意味では今回のの講師陣はかなり多士済々、今全国でも注目されている「食べる通信」や、生産者としても非常に先進的かつ、オリジナルな活動で結果を出されている方も。今回のスピーカーではマーケティングの視点を持つ方の選定の目利きは、治田さんならではですよね。この分野を本当に広い視点て学べる魅力的な講座になっていると思います。
治田 ありがとうございます! 笑
その部分は任せて下さい。
常にアンテナを張って、先進的な活動をされている方を探しているというのもありますし、常に意識しているのは“あたらしい価値”を創り出しながら“事業継続出来ている=ビジネスになっている”という方こそ、ソーシャルビジネスはもちろん、一般のビジネスでも付加価値の高いサービスを生み出しているわけですから。
今回は生産者側のヒントになる方はもちろん、食と農の分野で大切な“情報を届ける”“知ってもらう”というPRの部分が非常に上手く表現出来ている方々にお声掛けさせていただいております。
六次産業化について
宮治さん 先ほどの話にも繋がりますが、やはり自身のビジネスはどこに特化するべきなのか、その部分について本講座から掴んでもらえたら。
今世間では六次産業化の言葉も流行っていますよね。ただ、現在の六次産業化の推進の仕方は非常に危険だなと僕は思っていて。結局すべてを生産者、農家が担うスタイルの六次産業化では無理なんですね。生産者は現場があり、その部分で本当に一生懸命仕事をしている。その上で加工もして、販売もして、実はそれが出来る生産者は相当スペシャルな方だけなんです。
生産者が加工、販売を手掛けられるのはある意味ウルトラC。すべての生産者がそれを目指すのは正直難しい。と宮治さん
治田 たしかにそうですよね。
宮治さん 六次産業化って実は加工の話ではなくて、農産物の流通経路の見直し、ブランド化、その販路開拓も含めて〈あたらしいビジネスモデルをつくる〉ことが六次産業化と捉えないと、なかなか成果が出ない。
農産物は生鮮ならある程度売れるけれど、加工品となると一気に売れなくなるということもよく聞く話なんです。
治田 そう思います。どんな加工品をつくるのか、そしてそれをどう発信して、お客様の手元に届けるのか、きちんと整理して実施されている人は実は少ないのかもしれませんね。
宮治さん これは農業の王道なんですが、高品質なものを安定して供給していく。これが王道です。規格外が出たから、加工品をつくるのではなくて、規格外を出ないようにする。その努力をしたほうが農業は儲かると言われています。
まずはそこからスタートしないといけない。もちろん生産者ではない方が、加工をやることで生産の現場に近づく、農業に近づくことになりますから。そういう視点は大切ですが。
治田 今回のスピーカーのドレミファームの高田さんはその加工品で注目の商品を生み出されてますね。野菜のピクルスを作られていて、色鮮やかで、素材の旨味を活かした商品たちが今非常に注目されています。
宮治さん ドレミファームの高田さん、僕も興味津々です。
治田 当たり前ですけれど、この食と農の分野では“誠実につくる”ということが、やっぱり一番大切ですよね。そしてそれをきちんと届ける。そこからファンが生まれ、愛されるお店やサービス、ブランドを持つ生産者になっていくのだと思います。
講座がつくるコミュニティ〜神奈川の食と農の人的ネットワーク〜
治田 講座を通じて、横浜・神奈川という同じ地域で活動する生産者や事業運営者が出会うことで、それぞれの共感軸が重なれば、最初のお客さん同士になり得るというのも、実は非常に大切なことだと思っています。
やはり身近な人が最初のファンになり、そこから口コミで商品やサービスの魅力って伝わって行くことも多いですから。
宮治さん 神奈川という場所は、すごいポテンシャルがあるんですよね。
人口が907万人いて、箱根には毎年2,000万人の観光客が訪れます。藤沢市だけでも1,700万人、そして横浜だけでも3,452万人の人が観光客として訪れてます。
マーケットとしての神奈川は非常に大きいんです。神奈川の生産者は神奈川県内だけの消費でも十分に成り立つんですね。農家としての規模は面積的には小さいかもしれない、けれどこれほどのマーケットがあれば、うまく生産してPRすることで持続可能なビジネスにしていける。
ここが神奈川の強みだと思います。
治田 そうですね、横浜だけで3,452万人ですからね。
もっともっと、横浜に多くいる生産者の方々の食材を活かした、新鮮な食材を楽しめるレストランやお店が増えてもいいですね。
これからオリンピックに向けて、さらに可能性がある分野だと思います。
宮治さん ポテンシャルあるエリアですよ、改めて言うまでもなく。
横浜・かながわの食と農の魅力をどうアップさせていくのか?1つのチャレンジがこの食と農のプロデューサー養成講座なんです。とお二人 ※写真はマスマスの【まちなか社食】ローカルファーストワゴンの前で。
治田 暮らしている市民の皆さんにも積極的に地域の食材をチョイスしてもらえるようにしていきたいですね、ただ無理矢理そうしていくなんてことは無理ですし、日常の中で“美味しいから”選ばれるようになっていくには、どうしたらいいのか?
マスマスとしてはそういった部分も考えながら、講座を仕掛けていきたいと思っています。地域にチャレンジしたい担い手が増えた時、そのチャレンジがしやすい場所をエリアの不動産オーナーと一緒に、プロデュースしていくような。
魅力的な人が集えば、そこに魅力的なコンテンツが集まり、さらに人を集める。そんな場づくりも仕掛けていきたいですね。
宮治さん いいですね、魅力的なコンテンツや場は魅力的な“人”が必ず居ますから。
横浜・神奈川をもっと魅力的な場所にしていきたいですね。
おわりに 〜みらいの受講生に向けて〜
宮治さん これまでもそうなんですが、食と農の分野で起業したい!という方以外の方でも、この分野には多くの方が関心をもっていらっしゃると思います。
毎日の生活の中で、日に3回は食事をしますし、やはり生きて行く上で非常のベーシックで大切なことですから。
そういった視点でいくと、ライスワーク(仕事)としてではなく、ライフワーク(趣味や生涯掛けて取り組みたいものごと)として、この分野に取り組みたい方もきっといると思います。
そういった方とも、ぜひ一緒のこの横浜・神奈川を舞台に広く繋がりながら、一緒に学んで行けたらいいですよね。
治田 そうですね、私もそう思っています。
そのつながりを活かしながら、マスマスとしては企業の方とコミュニティを繋げるような仕掛けづくりもしていきたいですし、とにかくみんなで美味しいものを教え合いながら、あたらしいビジネスやサービスを創り出していく、結果として海外や県外から来た方に、横浜・神奈川の魅力をもっともっと伝えていけたら嬉しいですよね。
宮治さん いやー、いいですね。
今回講師の1人としてお呼びしている小田原の秋澤農園の秋澤さん。彼なんか本当に一級品の果樹を小田原の大自然の中で丁寧に育てていて、先日農園に遊びに行ったら美味しそうな梅が収穫しきれなくて、地面に落としてしまってて。本当に魅力的な、良い梅を活かし切れていないんですよね。人手不足で。
それこそ受講生の中でそういったことに挑戦したい人が居れば、講座を通じてプランを提案していくといいかもしれない(笑)
治田 秋澤さんは海外での農業従事の体験をしたことで、それを原体験にビジョンを持って生産されてますよね。また。神奈川の農家が集まって〈神七〉というプロジェクトをされている苅部さんも「畑の見学ツアー」や実際に土に触れて農を体験できる〈百姓塾・農業塾〉を実践されてたり。ぜひマスマスとしても応援していきたいですね。
同じ地域で活動する先輩として出会える、食と農のプロデューサー養成講座という場も今後もさらに活性化させていきたいですね。
宮治さん、今日はありがとうございました!
宮治さん いえいえ、こちらこそ。スピーカーと受講生が、同じ地域の先輩後輩という感じがいいですよね。
まさにローカルコミュニティ(笑)
3期も張り切って行きましょう!沢山の方のエントリー、お待ちしています!
text : masanobu morikawa
photo : hiroyuki horigome
◎iSB公共未来塾・横浜 内閣府「地域社会雇用創造事業」の一環として社会的企業育成支援事業コンソーシアムが運営するビジネススクール。地域の活性化と雇用の創出を目指して、社会的企業の人材育成(研修プログラム)と社会起業の支援(ビジネスプランコンペ)を組み合わせて行い、「公共の未来」を担う人的ネットワーク形成のためのプラットフォーム。2010年〜2011年実施。