去年初めて開催し好評だったことから、今年もまた10月5日から「地域をつむぐローカルメディア講座」を開催することになりました。
森ノオト × マスマスカレッジ
「地域をつむぐローカルメディア講座 第Ⅱ期』」開講!
なぜ、いまローカルメディアが必要なのか。昨年は訪日観光客数が1000万人を超え、今年も歴代最高になる見込みが出されている。グローバルに人の流れが加速し、目まぐるしく変化しているように見える世の中であなたが生きていくのに、大切な暮らしを案外見過ごしてしまっているかもしれない。足元にある暮らし、自分たちが暮らしている地域に目を向けることで、楽しい毎日が生まれる。地域の魅力は十人十色、地域の魅力はそこにしかない、宝のようなもの。そこでの暮らしを魅力的に発信することで、きっかけが生まれるかもしれない。地域で輝く、ヒト、モノ、コトが見つかるかもしれない。
まずは、自分の暮らす地域に目を向けてみませんか?
コンセプト
本講座では、自分の暮らす地域を楽しく盛り上げ、地域課題を解決し、コミュニティを創出していくローカルメディアの可能性をさぐり、実際に運用していくための具体的なノウハウを提供します。あなたのテーマを縦軸に、メディアという横軸を通しながら、どんな地域をつくっていくかを一緒に考えませんか。
いよいよ、第2期がスタートします!
平日のデイタイムに開催される「地域をつむぐローカルメディア講座」。
本講座のコーディネーターを務める特定非営利活動法人森ノオトの北原まどかさんと主催者である関内イノベーションイニシアティブ代表取締役の治田友香の対談トークをお届けします。
受講生のうち数人が実際に地域メディアを立ち上げる活動を始めるなど、前回講座の手応えを感じている2人が、今年の講座の特色、地域における情報発信の価値、ただ「伝える」だけでおわらないローカルメディアの意義について話してくれました。
昨年度のようす。森ノオトの北原まどかさんとマスマスの治田代表も講師を務める。
ローカルメディアの魅力を語る、旬の講師陣
治田 今年のスクールでは講師はなぜか私たち以外は男性になりましたね。
北原さん 昨年実施してみて、また新しい学びを提供したい、そんな思いから、今年わたしがお呼びしたい人たちを考えていったら、この講師陣になりました。
治田 影山さんは本を出されたばかりでホットな存在だったし、ソーシャルな活動をする人の中で確固たる地位を築いた指出さんも快諾してくれました。
北原さん 1回目のゲストは編集者の影山裕樹さん。「ローカルメディアのつくりかた(学芸出版社)」という本を出版されたばかりで、治田さんともずっと注目していた方です。影山さんは、全国のローカルメディアを俯瞰的に見ているジャーナリストであり、カッコいい紙媒体をつくる編集者です。その仕事ぶりからもプロの力、デザインの力を信じているのだなとわかります。プロの目が入ることによって地域の魅力が新しく発見されるという視点で活動されています。
治田 私は、そんな「カッコいい」と称される影山さんが著書の中で「みやぎシルバーネット」を取り上げているのを読み、とてもいいと思ったんですよ。「みやぎシルバーネット」は、仙台市を中心とした高齢者向けのフリーペーパーで、活動の軸足はローカル中のローカルです。そして、ローカルメディアのプロセスそのものが地域づくりにつながっていくのも大きな特徴です。
そこまでのプロセスをどれだけ地域の人と共有できるか。さらに、読者に届けるために「流通」が生まれる。みやぎシルバーネットの活動でもそこがとても興味深い。
市民活動にとって、メディアはとても大事です。今はインターネットを使う人も多いですし、東京の雑誌やメディアが飽和している中で、地域に面白いものが潜んでいるということを影山さんは見ています。
北原さん 地域に住んでいるからこそできることを影山さんから引き出せたらと思います。
治田 2人目は北原さんですね。
北原さん 私の回はめちゃめちゃインプット量が多いですよ。とてもお得だと思います。飲食店やイベントなど、取材現場のパターン別のノウハウとかメモのとり方とか、私が培ってきた技を全部教えます。受講生同士のペアインタビューも実施し、愛ある添削もしますよ。
治田 北原さんから添削してもらえるというのがとてもいい!北原さんがコーディネートする意味もでてきますね。
北原さん 情報発信って大切だけど、実はハードルが高いと感じる人もいると思います。
そこでどこが課題か、なにをやればいいかがわかる入門編であり、現場で使える応用編が私の講座です。ケースバイケースな部分が多いので「どこまでなら書いてOKか」という質問はこたえにくいのですが、この講座の良さはたくさんの経験、それも失敗を含めた経験をお伝えするということです。講座自体が生きた知恵になると思います。
北原さん 3回目はカメラマンの川名マッキーさんですね。マスマスのスタッフの方も、マッキーさんの写真講座で腕を磨いているんですよね。
治田 マッキーさんの「フォトヴィレッジ」は、前半にマッキーさんが教えるカメラの基礎講座、後半のゲスト講師による応用講座がセットになっています。
うちのスタッフが言っているんですが、「カメラは基礎を勉強すると写真を撮るのが面白くなるんですよ。特にマッキーさんのフォトヴィレッジの基礎講座は、プロレベルの人もリピートして参加するくらいの充実ぶり。マッキーさんに教えてもらったら、カメラのスキルがワンランクアップするので、撮るのがとても楽しくなります」と、大絶賛の講座です。
北原さん マッキーさんは人柄とテクニックが抜群にいいんです。私は椿直樹さんの書籍の取材(FAAVO横浜でクラウドファンディングに挑戦した「横浜の食卓」出版プロジェクト)でご一緒したのですが、明るく相手とやり取りしながらその良さを出していく引き出しがとても多くて、マッキーさんの視点に学ぶ部分は多いと思います。
治田 フォトヴィレッジでもよく質問されるのが、「いいカメラ持っているのに、なぜとれない?」ということなんですよね。光の取り込み方やとても基礎的なことを学ぶと劇的に写真が変わってくるので、単発受講でもおすすめですね。
北原さん 4日目は月刊『ソトコト』編集長の指出一正さんですね。
治田 以前、マスマスでも登場してもらっています。「ソトコト」って、ソーシャルビジネスを発信する雑誌だと思ったら「いっさいソーシャルビジネスとは書かない。書かないで世界観を出す」というスタイルだと聞いてとても感心しました。若い人にソーシャルビジネスの分野を知ってもらうにはとてもいい雑誌ですね。
北原さん 私にとって、「ソトコト」は、一時期転職先に考えたほどの憧れの雑誌です。指出さん自身が全国いろいろなところのメディアの編集長や委員をやって、その街の地域おこしなどと連携しながら活動をしています。地域にいる人が何を面白いと思うのか、そこに徹底的に寄り添っている方だと思います。
この回では読みたくなる見出しの作り方や、そのメディア独自の世界観をつくるにはどうしたらいいかをやります。
北原さん 第5回は著作権です。
メディアに関わると気になるのが、文章の引用がどこまで許されるかとか、著作権や肖像権、名誉毀損、商標などだと思います。
「法は道徳の最少限度」と、弁護士の長谷見峻一さんはおっしゃっていましたが、例えばメディアでいえば、取材される人の意志を確認する、相手の立場をちゃんと想像しましょうということです。私からも「こういうケースはどうだろう」とたくさん質問を投げかけました。事例を交えて教えてもらえると思います。
治田 最近、メディアを取り巻く状況が変わってきたのは、SNSの広がりです。だれもが自由に簡単に情報を出すことができる。他者をも簡単にさらせるようになった。知っておいて損はないですね。
北原さん そして最終回は治田さんです。参加者の方に事業計画をだしてもらうことになります。その事業計画について、愛あるダメだしをしてもらえるんですよね。
治田 メディアは、他人を巻き込むかどうかでかなり運営の仕方が変化します。人が動くことに対するコストを考える。出て行くものに対してどういう入りをつくるのかというのが大切です。参加者の皆さんから出てきた計画に対しての方向性を示すのがいいかもしれませんね。
森ノオトの場合はどう始めたのでしたか?
北原さん 最初は地元の工務店さんにスポンサーになってもらってスタートし、NPOになってからは会費で支えてもらうスタイルに移行しました。
かかる時間と記事の本数をどう考えていくか、本来プロがやるならどのくらいの予算が必要かという点も考えながら、これはいくらの仕事になるのか、どう折り合いを付けていくのかを決めていきます。自分だけでやるなら予算はかかりませんが、人と一緒にやる、アウトソーシングするというレベルにあがるにあたりどうやって資金を捻出するかがポイントだと思います。
この講座を重ねることによって、実際にメディアをつくる参加者がもっと出てきたら、いつかメディア交流会をやってみたいですね!
受講生が実際にローカルメディアを立ち上げた
治田 昨年の講座参加者が、終了後に地域でメディアを実際に立ち上げました。芽が出ている、それもこんなにすぐにというのも驚きです。
北原さん 「ヨコスカ織り人」さんですね。立ち上げたのは、企業に勤めながら、もともと横須賀市民として地域に密着した活動をしていた方で、マーケティング感覚もありました。この方はデザインが大事だと知っていて、今回メディアを始めるときも、デザインをきっちり決めています。
他にも、前回の講座に参加してくださった方のいる大倉山などでも始まろうとしているプロジェクトがありますし、この記事を書いている船本さんも前回の受講生ですが、あれから横浜の子育て情報紙でママさん編集部活動を始めたんですよね。
前回受講生だった船本由佳(写真左・この記事を担当)も今回の講座でアシスタントを務めます
治田 平日のデイタイムに開催するので、女性向けのイメージかもしれないけれど、前回は仕事として地域コミュニティづくりに関わっている方など、男性の参加もありましたね。
北原さん 企業で地域ニーズや情報発信などに関心を持っている人にもヒットするとわかりました。もちろん、時間帯的にも主婦の方も参加しやすいと思います。
受講生が実際に活動を始めている人がいるというのはうれしいですね。
なぜ、いま「ローカルメディア」なのか
治田 イベントもそうなのですが、結局は発信力がないと事業って難しい。発信力って基本的なスキルなのだけど、教えてくれる人が少ない。そこをサポートしたいんです。勉強するだけでなく、生かせる場も作り、参入障壁というか、見えない壁をとりたいと思った。
北原さん 書くときに重要なのは、普段見たり感じたりしたことです。主婦の方はよく「わたしなんて」と自分を卑下する人が多いけれど、生活で感じるリアルな感覚こそが、同じ目線の生活者に伝えていくためには大切なのです。
ローカルメディアで何をやりたいかってそこなんですよ。世の中が変わっていくためにはマスに訴えかけるのが大切ですよね。マスというのは、普段、声が見えにくい地域の人のこと。そこに届かなくてはいけません。
だから生活者目線の表現がいいのです。
社会を変えたいと思ったときには、自分の思った通りに強い力を持って変えていくのではなく、ゆるくあたたかくまちが変わっていくほうがいいと思っています。
治田 北原さんの活動がいいなと思ったところは、地域の女性が頑張っているだけでなく、自分たちの先輩にあたるその地域でずっと頑張ってきた女性たちを取材するという姿勢です。地域にとってはその先輩自身が資源なんですよね、それを文章で知らせていく。その記事が地域に住む人たちに役に立つだけでなく、地域をつなげていくというのを体現していると感じました。
北原さん うれしいです。
森ノオトを運営していると、地域ニーズがよくわかっています。取材というツールを使って、いろんな方々にヒアリングもできるのが強みです。かつて取材をした人たちに、もう一度意見を聞ける関係も築いています。ローカルメディア活動というのは、相手に貢献できるかを考えて取材をするし、お互いの協力関係も見える化できる。地域で起業する人は地域を知らなくてはならない。地域のニーズを知らないといけないと考えると起業したい人には必要なスキルですよね。
治田 マスマスは、メディアを持っていないけど、講座はある意味メディアだと思っています。
地域で起業をしようとする人たちに一番必要なのは地域を見る目を養うことです。地元に根ざして活動をしている森ノオトは、講座参加者が目標とできる存在だと思いました。キラキラしたビッグな講師もよいですが、等身大の存在に登壇してもらいたかったので北原さんにコーディネーターを依頼しました。
最後に、北原さんにとって、ローカルメディアのやりがいは?
北原さん 楽しいんですよ。地域で知り合いが増えて、相談ごとができる相手もみつかり、子育てしながら暮らすのも楽になっていきます。地域の店も取材するので、まちに自分の子どものことを知ってあたたかく見守ってくれているお店があるってうれしいですよね。
治田 メディアがつなぐ地域のご縁ってありますね。
北原さん そして地域にお金も落とします。七五三とか子どもや季節の行事など、地元のお店や施設を知れば利用したいと思いますよね。メディアがきっかけで地域経済の活性化につながります。
治田 地域の小さな雇用を生み出すことも大切ですね。お金と情報がどうまわっていくのかということも考えていきたいですね。
平日のデイタイムに開催の『地域をつむぐ ローカルメディア講座』は講座の後に交流ランチがあるのも魅力です。まちなか社食のお弁当を食べながら、リラックスした雰囲気の中、講師や受講生同士で話すことができますよ!
交流会での語らいの中で、講座が修了したあと活動を続ける中で刺激を与えあえる「同志」が見つかること間違いなし!
地域をつむぐローカルメディア講座は10月5日から全6回で開催します。
申し込みはこちら(http://massmass.jp/project/local_media02/)
皆様のご参加をおまちしています。
text:yuka funamoto
photo:hiroyuki horigome