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イベントレポート | 【田園都市で暮らす、働くを語ろう 第二回】ポストコロナにおける地域起業、地域活動への期待と見えてきた課題

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田園都市で暮らす、働くプロジェクトとは

持続可能な郊外住宅地のためには、地域で新しい働き方が生まれ、充実したライフスタイルを送れることが大切と考えます。さまざまなプログラムを通じて、田園都市沿線での豊かで新しい暮らし方・働き方を創出するプロジェクトです。

▶︎次世代郊外まちづくりの活動の一環です。

 
田園都市沿線で働いている方々、起業された方々、自分らしい暮らしや働き方を実践されている方々をお招きし、チャレンジしていること、新しい兆しなど”今の青葉”について語るイベント「田園都市で暮らす、働くを語ろう」。
 
第二回のテーマは「ポストコロナにおける地域起業、地域活動への期待と見えてきた課題」という事で、あざみ野商店会協同組合 代表理事の黒沼勤さん空の箱オーナーの大谷明子さん3丁目カフェオーナーの大野承さんをお招きして、地域で起業、活動することについて、またコロナ禍で見えた事についてお話しいただきました。モデレーターは弊社代表の治田が務めます。
 
どんなトークとなったのかレポートでお届けします。
 
 

ゲストスピーカー紹介

 

あざみ野商店会協同組合 代表理事
黒沼勤さん

大学を卒業後、飲食店での勤務を経て家業であった蕎麦屋を手伝い始める。
約8年前に、2号店として「そばくろ」をあざみ野でオープンし、現在では「オリバル」を加えて2店舗を経営。
また、あざみ野商店会協同組合 代表理事へ就任し今年で3年目となる。

 

空の箱オーナー
大谷明子さん

2013年6月よりオープン。1人で仕入れ、接客、制作、植え込みなどを行っています。
日々の小さな幸せのお手伝いを丁寧に愛を込めてお届けします。
子ども達がいつも花と触れ合える環境を考えて続けています。

 

3丁目カフェオーナー
大野承さん

1947年(昭和22年)東京生まれ、
1970年株式会社資生堂入社、2005年退職、
以降10年の自治会など地域活動を経て2014年に3丁目カフェを開設以降6年現在に至る。
73歳。
3丁目カフェは創業時の苦難を乗り越え、今第二の苦難コロナ禍を迎え、新たな道を探っている。

 
 

[イントロ] 次世代郊外まちづくりとは
横浜市建築局住宅部 住宅再生課 平山 竣さん

 
横浜市と東急株式会社が2012年から協定を結び、地域、民間企業、大学と連携して街づくりをしていく取り組みが「次世代郊外まちづくり」です。

その中で大きく掲げているのが、「田園都市で暮らす、働くプロジェクト」。

持続可能な住宅地ってなんだろう。
「郊外で新しい働き方が生まれて、そのなかで充実したライフスタイルを送ることが必要」という考えを持ち、地域の皆さんとともに新しい働き方暮らし方を創出する取り組みです。

2年前から実施し、初年度は実際に新しい働き方を実践されている方へのヒアリングや有識者との意見交換を行い、新しい働き方暮らし方について考察しました。2019年はトークイベント、セカンドキャリア講座に発展させ、今年も引き続きイベントや講座を実施していきたいと思っています。
 
 

[イントロ] 横浜市 SDGs bizサポート補助金のご案内
横浜市温暖化対策総括本部 SDGs未来都市推進課 赤谷さん

 
横浜市は2018年に国からSDGs未来都市に選定され、以降SDGs達成に向けて事業者、市民の方々と共に取り組みをしてきました。そんな中新型コロナウイルスが拡大し、大幅な事業の見直しを余儀なくされた方も多くいらっしゃると思います。
そこで横浜市は、感染症対策と経済の活性化を加速する為、地域の課題解決への取り組みと新しい生活様式を両立するような先駆的な取り組みを対象としたSDGs bizサポート補助金を創設しました。
身近な課題解決が、SDGsが掲げる世界の課題解決につながっていく事を目指しております。
 


 

 
申請書の書き方、事業立案の仕方などわからない事がありましたら専門のスタッフがサポートしますので、
「ヨコハマSDGsデザインセンター」までぜひお気軽にご相談ください。

ヨコハマSDGsデザインセンター https://yokohama-sdgs.jp/
 
 

パネリスト
あざみ野商店会協同組合代表理事 黒沼勤さん

 
最初のパネリストは、2代目として引き継いだそば屋「そばくろ」と「オリバル」の2店舗を営み、2年前から商店会長に就任されている黒沼さんです。主にコロナ禍の商店会の取り組みについて語っていただきました。

あざみ野商店会はコロナ禍の取り組みとして、まず「テイクアウトあざみ野!」というサイトを作りテイクアウト推進の発信をはじめ、その後青葉区全体にも呼びかけ「テイクアウト青葉区!」の動きへと広がっていきました。さらに、営業できない店舗への先行投資の方法として「サキチケ!」を企画。制作、情報発信を商店会として行い、各お店に利用してもらう取り組みも行っています。

また、横浜市からの商店会へのコロナ対応の助成金は、加盟店舗数で決まるのを利用し、新たに商店会に加盟してくれた店舗にその助成金を還元する事で商店会の加盟店を増やした例も紹介してくれました。

あざみ野はこれらの企画実施がとても早くその理由を伺うと、商店会の理事は代替わりなどもあり同年代も多く、メッセンジャーで情報共有している。新しい企画はメッセンジャーで投げかけ、いいねが多かったら即やるという感じです。とそのスピードの秘訣についても教えていただきました。

さらに、青葉区全体でエコバック「AO-BAG」を制作し販売店に利益が仕組みづくりや、今年は地域のコミュニケーションの場としてのお祭りが出来ないので、あざみ野の商店街新聞を配って商店街の取り組みを紹介していく活動についても紹介していただきました。

精力的に新しい企画に取り組むあざみ野商店会にこれからも注目です。

テイクアウトあざみ野! https://sites.google.com/view/takeoutazamino/
サキチケ! https://sites.google.com/view/sakiticket/
 
 

パネリスト
空の箱オーナー 大谷明子さん

 
2人目のパネリストは、美しが丘西で生花店を営んでいる大谷さん。
自宅に持ち帰ってからも長く楽しんでもらう為、店舗に冷蔵庫を置かず、自然な状態で販売するなど大谷さん独自のこだわりがつまったお店です。昨年のツアーでもお伺いさせていただいた大谷さんに、「田園都市で暮らす、働く」こと、そして今回の緊急事態宣言中のお話をお伺いしました。

1日のスタートは朝3時半〜4時に起き、子供が起きる前に市場に仕入れに行って、帰って子供にご飯を食べさせて保育園へ連れて行くとの事。「大変ですね」との声に、「楽しいんで!」と返す大谷さん。自分のペースで働き、それが暮らしの豊かさとなっているのが垣間みれたやり取りでした。

しかし、ここまでくるのにも苦労があり、元々は勤めていたお店のオーナーから店舗を引き継いだのが、開業したきっかけだったが、前オーナーと自分の経営方針や理念が違ったため、今までのお客さんとのすれ違いなどもあり最初の2〜3年は大変だったそうです。
丁寧に自分の信念を伝えていった結果、今は、地元や日本全国から注文がくるお店と成長したそうです。

緊急事態宣言中のお店の状況をお聞きすると、お家時間を豊かにしたいとお花を求めてくれるお客さんが多く忙しかった。しかし仕入れに行く先で感染してはいけない、またそれを広めてもいけない、またSNSでの言葉の投げかけにも気をつけたりとものすごい緊張感だったそうです。
普段みんな時間に追われる暮らしの中で、一旦時間が止まったあの経験は「大切な事を思い出した時間」だったのではないかとおっしゃっていました。

最後に、この辺りはお店がないので、昔の駄菓子屋のような感覚でこの場所に居られたらいいと語ってくれました。
 
 

パネリスト
3丁目カフェオーナー 大野承さん

 
高度経済成長期に会社員を経て、58歳で退職後「さあ、趣味に生きよう」と踏み出したのも束の間、自治会長にあたってしまったのがきっかけで計画が大きく変わっていったという大野さん。
様々な地域活動に関わっていく中で、地域の方の顔が見える「組織」づくり、「情報」を共有するWebサイトづくり、寄り合える「場所」づくりの3つの課題が見えて来たと言います。その中の「場所」づくりの課題解決が「3丁目カフェ」の設立へと繋がっていったそうです。

最初の構想は土地を借りてプレハブを建ててと計画していましたが、予定した場所が住宅地だった為、様々な制約にぶつかり、最終的に商業店舗を借りて運営がスタートしました。

しかし、はじめの1年半は地獄のスタート。業態を絞ったり試行錯誤しながら6年目ようやっと安定してきた所で襲われたのが、今回のコロナウイルス。カフェを開けられない日々の中で、スタート当初に何度も頭を過ぎった「逃げる… 消える…」という言葉に再び襲われたそうです。
そこで、知人の勧めもありクラウドファンディングに挑戦、関わりのある方以外からも多く支援いただき、目標を大きく上回る500万円を集めて終了、「これでいよいよ逃げられなくなった」とはにかんでらっしゃいました。

今後は再びカフェを中心に「文化の発信」や「福祉型地域貢献」をしていきたいと語ってくれました。

 
 

パネルディスカッション

最後に、パネリストのお三方に再度登場していただき、横浜市建築局住宅部 平山さん、モデレーターの治田を交え、パネルディスカッションを行いました。
 

 
コロナ禍の中、お客さんからいただいた印象的な事、言葉はありましたか?
黒沼:テイクアウト営業の時、お客さんからの「がんばってね」の言葉がうれしかった。いままでやっていて良かったと思った。
大谷:「花を一輪でも飾る事でこんなにも心が穏やかになるんだ。ありがとう」と言われて、商売の原点を思い出した。
大野:クラウドファンディングをやった事で、「自分にとっても欠かせない場所だ」と多くの方に言っていただいた事。
 

逆に辛かった事はどんな事ですか?
黒沼:仕入れにいけない事で市場の人も困っていたのが心苦しかった。
大谷:閑散とした市場を見た時。花が安く生産者さんもみんな悲鳴をあげていて、市場のさびしさがなんとも言えなかった。
大野:人には助けられたけどお金の問題。
 

青葉区ならでは、青葉区だからこそと感じる事は?
黒沼:強みは、商店会のみんなが仲がいい、横のつながりも面白く色んなイベントが出来る。
弱みは、東京に出勤している人が多かったり、テレワーク中は外に飲みに行きづらかったりでなかなか地元の飲み屋に来てくれない。
大谷:アンテナが高い人が多い。
生産者が困っているからお花を買ってあげたいとか、母の日1日だと集中してしまうので、5月1ヶ月間を母の日としようとみなさんが投げかけたり。
大野:地理、経済、街づくり…とても恵まれてる。しかし市議会議員の投票率が低かったりその辺りの関心の薄さを感じる事もある。
 


ここまでのやり取りを聞いて横浜市の平山さんから
お三方の人柄、人間味が出ていて面白い。
コロナ禍でお店を支援する側としては、行ったことがある、関わっているお店は応援したいけれど、行ったことがないお店は支援しづらいと思うのですが、みなさんが色んな方から支援をいただいたりしているのは、発信力が上手ではないのかと思うのですが、発信のコツはどんな事ですか?


 
大野:集客のほとんどはFacebookを使っている。「いいね」をしないと「いいね」は帰ってこないのでこまめに「いいね」を返している。口コミの横の広がりも強い。
大谷:インスタグラム、Facebookを使っている。ひとつの花にひとつのドラマがあるのでそこを掘り下げて書いている。朝の通勤時間と夜は夕ご飯後ゆっくりする9時頃がインスタの黄金時間。毎日この時間に1投稿するといいらしいです。一時期カメラを一眼レフに変えた時にフォロワーが増えたのは面白かった。
黒沼:ウェブサイトをつくると面白いのですが、参加してもらうのに、各店舗に案内でまわるのが仕事以上に大変。
 

若い世代の人が住んでいる田園都市にかかわるきっかけづくりを何かされてますか?
また、超高齢化に対して何か挑戦したいことはありますか?

黒沼:商店会としては個人店のあったかさを感じて欲しい。
駅近の施設だけではなく、商店街を利用してもらえるようにイベントなどをどんどんやっていきたい。
大谷:インスタの流行もあって若い人がお花を飾ってくれたり、若い男の子も来てくれたりしている。
これからは飾るだけではなく、気軽に送ることもして欲しい。その為に花屋に行きやすいようにSNSで発信したい。高齢の方には定期的に届けに行ったりするサービスも考えたい。
大野:チャンスはどこにも広がっている。常に発信していく。
よそ者あつかいせず、チャンスがきたら応えられるようにしたい。
 
 
 

当日のアーカイブ動画はこちらのページアップしてありますので、あわせてご覧ください。

 
 
 

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