田園都市で暮らす、働くプロジェクトとは
持続可能な郊外住宅地のためには、地域で新しい働き方が生まれ、充実したライフスタイルを送れることが大切と考えます。さまざまなプログラムを通じて、田園都市沿線での豊かで新しい暮らし方・働き方を創出するプロジェクトです。
▶︎次世代郊外まちづくりの活動の一環です。
田園都市沿線の新しい兆しなど“今の青葉”について語るイベント「田園都市で暮らす、働くを語ろう」。
第4回目は、2020年度田園都市で暮らす、働プロジェクトの実施報告と株式会社スリーハイの代表取締役 男澤誠さんに「準工業地帯発、地域子育てと場づくり」に関して東山田という地域にフォーカスしてお話していただきました。
準工業地帯とは工業用用途地域と居住用用途地域の中間に位置する地域で、企業と住民が混じり合った特殊な地域になります。
企業の世界
住民の世界
その2つの世界が混ざり合っている地域で、どのような関係性があるのでしょうか。
ゲストスピーカー紹介
株式会社スリーハイ
代表取締役 男澤誠さん
株式会社スリーハイ代表取締役、一般社団法人横浜もの・まち・ひとづくり代表理事、 関内イノベーションイニシアティブ株式会社取締役。 51歳、川崎市生まれ、家族4人暮らし。 大学卒業後、通信建設企業でネットワークエンジニアとして2000年問題に携わる。 2001年、退職後、父が創業した株式会社スリーハイ(産業用電気ヒーターの製造販売)へ2代目として入社。 課題であった下請けからの脱却を図る。 2013年、都筑区東山田の準工業地域において周辺企業を巻き込んでCSRを開始。 現在は「こどもまち探検」という工場見学ツアーを運営しており、年間300名の児童を地域で預かる。
[イントロ]田園都市で暮らす、働くプロジェクトの事業報告
東急株式会社 次世代郊外街まちづくり担当 坂井田麻子さん
トークイベントの前に横浜市と青葉区・東急株式会社が協定を結んで取り組んでいる「次世代郊外まちづくり」
これからの郊外住宅地には住むだけの機能ではなく、活動する・働くという新しい機能も必要だと考え2018年から取り組みを行っています。
2019年からは実際に住民の方と共に新しい働きかたを生み出すことを目指し「田園都市で暮らす、働くプロジェクト」が始動いたしました。
このプロジェクトでは4つのサイクル(地域・育成・コミュニティ形成・行動をおこす)を作ることを目指し、以下のプログラムを今年度、実施しました。
田園都市で暮らす、働くトークイベント
セカンドキャリア地域企業セミナー
あおば地域起業相談室
プロボノ実施講座
このサイクルは「地域から新しいことをやりたいと思っている人たちと学びの場を作り、コミュニティを形成して行動を起こしてもらい、地域に還元していく。」という流れです。
詳細に関しては関内イノベーションイニシアティブ株式会社の代表取締役社長 治田友香よりお話しいたします。
[イントロ]田園都市で暮らす、働くプロジェクトの個別報告
関内イノベーションイニシアティブ株式会社 代表取締役社長 治田友香
各プログラムの詳細について報告をいたします。
あおばセカンドキャリア地域起業セミナー
地域で起業したい方向けのセミナーで講座の中では先輩起業家のアドバイスや事業計画の作り方など、起業するためにはどうすればいいのかを約4か月で6回に分けて実施しました。講座の最後には、起業プランの発表もあり仲間と共に取り組むことで次の活動への原動力になっているのではないかと感じています。
*1~4期プラン提案実績 60件
プロボノ実施講座
プロボノを実施する前に入門編と実践編の座学講座を実施したのちに、2つの団体に実際にプロボノ支援をさせていただきました。
1団体につき4名の1チームで参加いただき、各自のスキルを発揮していただきました。それぞれがプロボノの重要性・普段とは違う出会いなど貴重な体験をしていただけたと思います。
またご協力いただいた各団体からは支援を受けて地域での活動において様々なプロフェッショナルな方からのアドバイスでよりいい方向へ進むことができたとコメントをいただきました。
あおば地域起業談室
起業に関することや、地域での活動に関する様々な悩みを持つ方に対して11件の相談をいただきました。相談員は、中小企業診断士や
気軽に相談できる場所を提供できたことは地域にとても貢献できたと感じています。
田園都市で暮らす、働くトークイベント
コロナ禍のため、すべてオンラインで行いましたが、とても意義のあるトークイベントになりました。地域経済や地域活動など各回様々なテーマにスポットを当て開催いたしました。
各回の詳細に関しては過去のイベントレポートをご参照ください。
【URL】 https://massmass.jp/tax_project/aoba_scondcareer/
[ゲストトーク]準工業地帯発、地域子育てと場づくり
株式会社スリーハイ 代表取締役 男澤誠さん
今回、ゲストとしてお呼びした男澤さんは東山田で電気ヒーターを製造する株式会社スリーハイを経営されながら、企業とその周りの住民とのつながりを作るために様々な活動をされています。
はじめに自社とその地域に関してご説明いただきました。
メイドインジャパンという世界に誇れるブランドをまた復活させるために、1つ1つを手作りで電気ヒーターを製造している株式会社スリーハイを経営されています。
「準工業地帯」とは「企業」と「住民」が”混じり合った特殊な地域”だとか。
これまで企業と住民の間ではトラブルもなく平和な地域が、近年では撤退した企業跡地にマンションや戸建てが建ち、「新住民」が増え、企業との間でトラブルが増加したことがきっかけで活動を始めたとおっしゃっていました。
活動内容
企業と住民にアンケートを取り、お互いを知らないことに気が付いた際に中学生ボランティアと共同で防災マップを作ったことで活動が加速したそうです。
現在でも行われている「こどもまち探索ツアー」。
地元の小学生が様々な企業へ訪れ、子供の将来の選択肢を増やし、普段の交流も増え、道で会うとあいさつできる関係になっていたそうです。
東山田を可視化するとこのような関係性になっており、くらす・はたらく・まなぶの3つが深く良い関係性になれるように「一般社団法人 横浜もの・まち・ひとづくり」を設立されたそうです。
そして企業も住民も使える場所として「カフェDEN」をオープンされ、地元民だけでなく、撮影や遠方から来られる方もいらっしゃるようです。
これからの活動について
東山田のために活動をされてから10年ほど経ち、振り返ると協力していただける会社も増え、住民とのトラブルも改善されたとおっしゃっていました。
そのおかげでほかの地域でも活動の依頼を受けることがあり、やりたい気持ちと出来ることは違う
「それは活動範囲を広げれば東山田に注げる力が減ってしまうから。」
これからも東山田のために100%の力で活動していくそうです。
クロストーク
ここで弊社治田を交えて視聴者の方から寄せられたご質問に対して、クロストークを交えながらお答えしていきました。
治田さん:まちづくりって時間かかりますね?
男澤さん:そうですね。何だかんだ10年ですからね。失敗の話もいっぱいありますし、
泣いたこともありますし。なにより理解者がいないことが辛かったですね。
治田さん:防災マップから活動を始めていらっしゃいましたが、これまで1人で活動され
ていたのですか?
男澤さん:最初は一人で活動でした。しかし、いつしか子供を連れて歩いていると声を掛
けてきてくださる方が増えてきました。
ご質問:中小企業が他企業に協力してもらう際の障害となるのは経営者の重い腰ですか?
男澤さん:その通りだと思います。同じ方向に向いてほしくても無理に向かせず、待つしかないんです。
一緒に喜んだリ、泣いたりすることが大切なんですよね。
10年で17社が協力してくれましたが残り67社あります。様々な考え方があると思うので、それはそれでいいと思います。
治田さん:共存していくといくのか。横目で見つつお互いが認め合える関係性なのかな?
男澤さん:こうゆう取組を通して企業間で受発注の関係性もできている。
治田さん:カフェDENを作ったことで活動のフェーズが変わられたんじゃないですか?
男澤さん:そうですね。場所があることで発信する機能が強くなりましたね!
1年間を振り返って
横浜市建築局 田島 剛:
つながりというものを改めて大切なものと感じました。活動することによって新たなつながりが生まれ、そのつながりによって新たな活動ができるようになることもありました。このような形で地域の価値をあげ、充実した暮らしができるのではないかと思いました。
青葉区役所 松永さん:
今年1年間も様々な活動を行ってきました。コロナによってイベントが中止になったものもありましたが、関内イノベーションイニシアティブさんの協力のもと、トークイベントを行うことができました。
オンラインの活動でもつながりができ、例年以上に多くの方が参加していただけたことで地域活動していただける仲間が増えたのことがうれしいです。