ソーシャルビジネス事業者の成長をさまざまな角度から伴走支援する「ヨコハマ・イノベーションスクラム・プログラム」。昨年度に引き続き、今年度も支援を希望するソーシャルビジネス事業者を5団体募集しています!
締切り迫る!7/21まで!
このプログラムは、マスマスを運営する関内イノベーションイニシアティブ株式会社が実施するソーシャルビジネスを経営する8事業者を半年間“地域”全体で応援する、アクセラレーションプログラム。
横浜で活躍する起業数年目のソーシャルビジネス事業者と、横浜で働き暮らす市民の皆さんの中から“プロボノ”という新しいボランティアワークを通じて、5組のソーシャルビジネス事業者がそれぞれの課題を“持続的”に解決していけるビジネスへレベルアップするためのプラットフォームとして平成29年度ソーシャルビジネス成長支援事業(横浜市経済局委託事業)の一環として行われます。
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さて今回は、アドバイザーとして関わっていただく日本環境設計株式会社代表取締役会長の岩元美智彦さんに、弊社代表の治田がインタビュー。昨年度プログラムに関わった際の感想をはじめ、ソーシャルビジネスを行なっていくにあたっての経営者としての心構えなど広くお話を伺いました!
いよいよ今年もスクラムプログラムがスタート!
昨年を振り返って。
治田 本日はどうぞよろしくお願いします。岩元さんには、昨年度もアドバイザーとして、審査会、そして2月の成果発表会に出席いただきましたが、率直にいかがでしたか?
岩元さん 成果発表会、事業者をサポートしようとするプロボノが本当によかったよね。あれは、本当にいい!
治田 岩元さんとしてはプロボノの印象が強かったんですね!たしかに、このプログラムは、「事業者(団体)が主役」「その事業者をサポートしたいという思いを持って関わるのがプロボノ」という体制を明確に取っていたんです。結果的に成果発表会の場でも、それが雰囲気として醸し出されていたのかもしれません。
岩元さん もちろん、団体を個別支援して出た結果もよかったよね。事務局やアドバイザーからも良いアドバイスをしているのが分かったし、プログラムを通して事業の方向性も見えてきたし。いや、やはり事業を一人でやるのは大変なことだから。
治田 いろんな人が関わることで行き詰まらないで済むということもありますね。
岩元さん きっと今年もプロボノがいい関わりをするんだろうなと期待していますよ。
治田 昨年は28名がプロボノとしてエントリーしていまして、そのうち自治体職員さんが5名ほどエントリーしていたんです。仕事ではなく、プロボノという形でNPOやソーシャルに関わると「こんなに面白いんだ!」と気づいてくれたようで。
このプログラムでは、行政とか企業とかそういう枠を超えてチームを組むというのがおのずと出来ていたのもよかったと思います。
岩元さん 自治体の人も、いい勉強、気づきになったんじゃないですかね?
治田 成果発表会には、当プログラムの主催である横浜市経済局の局長も出席していて、このプログラムで事業者もプロボノの一丸となって取り組んだ様子にとても感動したようですよ!
岩元さん 経済局長も想像を超える内容の濃さでビックリしたんじゃないですかね。「これはいいっ!」と思ったんじゃないですか。
治田 ほんと、なんというか不思議な雰囲気がありましたね。
岩元さん 僕はとても新鮮でしたよ。いろいろな大会や審査会に行くけれど、他とは違う始めての雰囲気だったなぁ。
昨年の成果報告会のようす。事業者だけでなく、プロボノとして関わってくれた皆さんが前に立ち、これまでの活動を報告してくれました!
治田 橫浜ゆえ、ローカルな感じがあったんでしょうか・・・?
岩元さん というよりも、新しかった!いままでになかった。とにかく初めて!
治田 新しかったんですね!(笑)きっと、事業者がちゃんと軸を持って目指すところを目指し、プロボノもしっかりサポートしていた、それがちゃんと伝わったんですね。
岩元さん プロボノが「こういうアドバイスをした」なんていう最終報告会、実はなかなかないですよ。プロボノの人たちが、まるで自分の事業のように感じていたのがよかったなぁ。若い人の熱気も相まって、楽しく取り組んでいるのが感じられましたよね。あと、組織では出来ないことがプロボノではできるという喜びがプロボノの皆さんにもあるんでしょうね。
治田 自分では起業できなくても、プロボノでならできるってことがありますしね。
岩元さん そうそう、お互いにいいんでしょうね。助け合うっていいなぁと思いました。ソーシャルビジネスは最終的にどれだけ多くの人を巻き込めるかどうかですから。
治田 昨年はプログラムを経て、実はいろんなことが起きたんですよ。要は、組織変革が起きた。そういったところまで切り込んで話を聞いたり、相談に乗ったり、それがこのプログラムならではの良さだったと思いますね。
いろんな方が関わることがやはり大事だと思っているので、今年もアドバイザー陣にもっと関わっていただきたいと思っています!よろしくお願いします。
みんなが納得できる理念を掲げる
治田 日本環境設計の目指す社会ってすごいですよね。「戦争をなくす!」なんて掲げている会社はそうそう無いと思います。言い放つ、ってすごいことだと思うんですが。
岩元さん 「戦争をなくす!」って、分かりやすいんですよ、だからその方がいい。環境系の会社ってたくさんあるけれど、一般消費者には各社の特徴がわかりにくいというのが正直なところだと思います。
でも、日本環境設計がやっていることはわかりやすいんだと思います。「(リサイクルされた資源で製造された商品を)買えば買うほど、(地下資源の使用を減らせるので)CO2が減っていく、戦争がなくなっていく」。みんなにわかりやすく納得してもらえるんだと思います。消費者の皆さんは買い物が好きですから。
メーカーは製品を作り、小売は売る。でも使い終えたモノを回収するのは別の話。リサイクルを経済の中心に持ってくるには、リサイクルを製品に組みこむという仕組みにすればいいんです。「同価格同品質の商品があったなら、地下資源で作られた商品とリサイクル資源で作られた商品、あなたならどちらを買いますか?」ってことです。ほら、みんな買うのは大好きだから!なので、おのずと買えば買うほどこの仕組みが広がるということなんです。
治田 人はいいことをしたい、買い物もしたい。それを両立させるということですね。
岩元さん 小売には「売って!」、メーカーには「作って!」、消費者には「買って!」。リサイクルだけだと強制になるんです。いままではその強制を、楽しいことでごまかしてきたんだけど、でも結局循環型社会を実現する最後のピースは、「製品」だったんです。
治田 トップブランドも巻き込んで、すごいですよね。でも、もちろん一足飛びでそうなったわけではないですよね。
岩元さん 10年かかった。仕組みができて、思想ができるまでに。
統一されたリサイクルの仕組みに参加する企業が多ければ多いほど、リサイクルにかかる費用は、製品を作る費用に比べて僅かと言えます。その僅かなリサイクル費を製品代含めるのが正しいやり方と言えます。
治田 家電リサイクルとかもありましたけど、負担に感じるし、実際にその払ったお金は使われているんだろうかという気もしたり・・・
岩元さん 民間の発想は行政とは違いますから。そのためにもとにかくリサイクル技術だけでなく、「製品」が必要で。リサイクルでも地下資源と同じだけのクオリティの資源を作れるようになって、「戦争をなくす」「CO2を減らす」そういう理念を掲げられて、世界のブランドになっていくと信じています。
治田 今は取り扱っているのは、衣料ですか?
岩元さん 正確には樹脂。PET樹脂ですが、衣料はわかりやすいですよね。ただ、衣料だけをリサイクルしている会社では限界もあると思いますし、環境の観点から見てもインパクトが少ないんです。
似たようなことをやっている会社は事実いくつかあります。でもぼくは、循環型社会を目指すには、みんなが同じ方向で進むことが必要だと思ってて。その意味では業界を超えてルールを揃えて、やっと地下に依存しない社会が作れると思います。
たくさんの方に振り向いてもらうために。〜岩元さんがデロリアンを買ったわけ〜
治田 話は変わりますが、日本環境設計さんといえばデロリアン!知名度はすごいですね!
岩元さん 「リサイクルの日本環境設計」というより「あのデロリアンの日本環境設計」というほうがみんなの反応がいい!(笑)
治田 デロリアンを買ってしまうというのは、いわばクレイジーですよね(笑)
岩元さん 社会課題とかまじめな顔して言っても相手は構えてしまうけど、デロリアンっていえばみんなリラックスして聞いてくれる!
治田 企業も、社会を振り向かせる・共感してもらえるための「代名詞」を何にするのかって大切ですよね。
岩元さん デロリアンは、神様のいたずらです。はじめ社内はみんな反対でしたから!直前までみんな本気だと思っていなかった。でも実際やってみたら、想像以上の反響でしたね。そして今もなお反応がある!
治田 すごいですよね。ほんと。
岩元さん こつこつやっているだけではリサイクル会社のままだったんです。デロリアンでやっとブランドになった!そのおかげで、誰に言ってもわかってもらえるし、話を聞いてもらえるし、企業のトップが話を聞きに来る。もちろん勇気は要りましたよ。でも、デロリアンを買ったらまちがいなく日本環境設計に箔が付くと信じていた。実際に面白がってくれる人もたくさんいて。これをきっかけに接点ができて、いまも関わりをもつ企業があるんです。
治田 岩元会長は早々に会長職についていますよね。
岩元さん 経営を安心して任せられる人がいるから、元気なうちに引き継ぎたいと思ってました。国内で顔を知ってもらうのに創立から10年かかりましたし、世界で知ってもらうのにも10年かかると考え、一緒に会社を立ち上げた今の社長に引き継いだわけです。いまの僕は方向性を定めるのが仕事。社長がやる仕事を今の自分がやってもしょうが無い。次のピースを見つけて突き進む。「工場稼働の次はここだ!」という感じで(笑)とにかく生きるか死ぬかでやってますよ(笑)。
治田 日本環境設計さんは、競合のいない分野を切り開いているとは思いますが、やはりいろいろ難しいですか?
岩元さん もちろん。投資している工場だって世界初のことをやるんだから、決して簡単ではありません。一生懸命やる姿勢が大事!上手くいったときの可能性を信じる。
治田 大胆に切り込む!ですね。
岩元さん 腹の据え方は大事。皆ができないと言ったことをやってきたという自負はありますね。
治田 社員や関わってくれる人たちに、夢を見させてますよね。同じ船に乗せる。岩元さん、ほんと幸せオーラ出てますよね(笑)これは、みんな付いていきますよ。
岩元さん ぼくは、リサイクルをもっともっと広めたい!そのために頑張りたい!と思うような世界がまだ実現していないから、同じ事を言い続けていきます。
治田 しぶとくやり続けるってことですよね。
岩元さん 「環境馬鹿」でいいんです(笑)
治田 いえいえ、でも徹底しているんですね。
岩元さん この方向性は間違っていないはずなんです。インフラ事業ですから。10、20年、もっと先を見ている。
治田 かっこいいですね!
岩元さん スーパーやコンビニで、日本環境設計のマークの付いた商品が出てくることが大事。それを買ってもらいたい!
治田 「買ってね」のなかに、これまでのいろいろなノウハウが詰まっているんですね。
岩元さん ものづくりは楽しいし、人材もたくさんいる。大手企業と一緒に「戦争がなくなるまでやる」という共通の目的を持って、今後も続けていきます。
治田 最後にこのプログラムにエントリーする団体や企業に一言いただきたいのですが。
岩元さん みんなでつながることがこのプログラムではできると思いますよ。業界ごとで人は物事を考えがちだけど、業界を超えて取り組めることはきっといいことのはず!ワクワクできるはずです。
治田 岩元さんご自身、分野にとらわれない考え方で事業に取り組まれていますからね。なにより、このプログラムで岩元さんはじめさまざまなアドバイザーの助言も受けられるので、ぜひたくさんの方にエントリーしてもらいたいと思います。
岩元さん、本日はどうもありがとうございました。
今回お話をうかがった岩元さんもアドバイザーとして「ヨコハマ・イノベーションスクラム・プログラム」に参画していただいております!たった5枠のみの起業家枠募集ですが、次のステージへ進みたい、さらにサービスを良くしていきたい、地域をおもしろくしたいという事業者の方の下記のリンクよりエントリーお待ちしております!
▼締め切りは7月21日!ヨコハマ・イノベーションスクラム・プログラムにエントリーする!
http://massmass.jp/event/scrum/2017/
お話を伺ったひと